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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.9.10 ■■■

応声虫の駆除方法

「續集卷四 貶誤」所収だが、どこが誤りか、なにも書いていないので、すぐにはわからない話。
と言うか、成式は、この手の成果話は眉唾モノと変わらぬと見ていただけのことだろう。・・・

相傳雲,
張上客藝過十全。
有果毅因,重病虚悸,毎語腹中輒響,
詣上客請治,曰:
 “此病古方所無。”
良久思曰:
 “吾得之矣。”
乃取《本草》令讀之,凡歴藥名六七不應,
因據藥療之,立愈。

伝承話である。
張上客の技量は、力量十分で、全く危なげがないというレベルをはるかに越えていた。
果毅因は、重い病を患っており、虚弱のために動悸が激しかった。
何か語る度に、毎回、腹中から何の気なしに音が発生した。
そこで、張上客を訪れて治療を請うことにした。
言うことには、
 「この病気については、古の処方に所載が無い。」
しばらく、思料していたのだが、こう言った。
 「我、この解決策を得たり。」
そして取り出したのが「本草」。
その書籍を読むように命じたのである。
凡そ、読んでいったのだが、
その中で、6〜7つの薬品名の時のみ、腹からの反響がなかったのである。
と言うことで、その薬によって治療したのである。
たちどころに治癒。


この後のパラグラフがあるからわかるのだが、この病気は"應病"として知られている。
洛州有士人患應病,語即喉中應之。 [唐 張:「朝野僉載」卷一]
応声虫の寄生によって引き起こされる疾病とされ、腹中の寄生虫が隨聲附和的に小さな声で言葉を発するのである。当然ながら、処方もあり、駆虫薬は雷丸(竹棲サルノコシカケ)。
その、"應病"の記載。・・・

據劉束《傳記》,
有患應病者,問醫官蘇澄。
澄言:
 “無此方。吾所撰《本草》,網羅天下藥可謂周。”
令試讀之,其人發聲輒應,
至某藥,再三無聲,過至他藥,復應如初。
澄因為藥方,以此藥為主。
其病遂差。

こちらは、據劉束の「傳記」から。
應病の患者が医官の蘇澄に治療を問うた。
蘇澄が言うことには、
 「この疾病の処方は無い。
  吾輩の撰で上梓された「本草」は
  天下の薬剤を網羅しており、
  遍く処方が記載されていると言ってよい。」と。
その上で、試しに「本草」を読むよう命じた。
声をあげて読むと、すぐさま反応があった。
某薬剤のところにくると、再三にわたり声がしなくなるのである。
その箇所を過ぎて他の薬剤にウルツと再び当初のような反応が。
蘇澄は薬の処方に則り、この薬を主体として薬剤を作った。その結果、遂に病は癒えたのである。


出典はこうなっている。・・・
有患應病者,問醫官蘇澄,云:
 「自古無此方。今吾所撰《本草》,網羅天下藥物,亦謂盡矣。
  試將讀之,應有所覺。」
其人毎發一聲,此中輒應,唯至一藥,再三無聲。
過至他藥,復應如初。
澄因為處方,以此藥為主,其病自除。

  [唐 劉:「隋唐嘉話」卷中]

(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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