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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.12.4 ■■■

「漢上題襟」

「唐詩紀事」卷五十七段成式@欽定四庫全書に引かれている「酉陽雜俎」の佚文詩については、すでに内容を掲載したが、「漢上題襟」の原文をあげておこう。

冒頭の箇所は、珍しそうな動物という観点で検討した際の詩。[卷十六 廣動植之一]・・・
   「駱駝とは」
成式《酉陽雜俎》云
「古樂府《木蘭篇》:
 『願賜明駝千里足,送兒還故郷。』
 明字多誤作鳴。
 駝臥,腹不帖地,屈足,漏明,則行千里。」


又云:
「波斯國謂象牙為白暗,犀角為K暗,
 故老杜有『K暗通蠻貨』之句。」

ペルシアでは、象牙は"白暗"で、犀角は"K暗"。
それ故、"K暗"は南方蛮族の貨として通用している。

ここは、"故波斯謂牙為白暗,犀為K暗。"という記載に、ヘンテコな"老杜"という文言が加わっただけ。
   「ライノ絶滅」

ここからは、特殊な詩。
又載《鬼詩》二篇云:

小生の印象は違うが。[卷十四 諾記上]・・・
   「歌垣考」
「長安女兒踏春忙,何處春歸不斷腸。
 舞袖弓彎渾忘卻,蛾眉空帶九秋霜。」

但し、鬼詩二篇は所収。[卷十三冥跡]・・・
   「唐代の代表的鬼詩」
又云:
「流水娟娟芹發牙,織鳥雙飛客還家。
 荒村無人作寒食,殯宮空對棠梨花。」


この先は、詩人を眺めた箇所で、佚文。・・・
   「唐詩人史」
《酉陽雜俎》云・・・
 一夕,予坐客以互送連句為煩,乃命工取細斑竹,以白金鎖首,如茶挾,以遞聯名之。
 予在城時,常與客聯句,初無虚日。
 小酌求狎,或窮韻相角,或押惡韻,或煎茗一碗,為八韻詩,謂之雜連。
 若志於不朽,則汰揀穩韻,無所得輒已,謂之苦聯。
 聯時共押平聲好韻不僻者,出於竹簡,謂之韻牒。
 出城悉攜行,坐客句挾韻牒之語,必為好事者所傳矣。
因説故相牛公楊州賞秀才希逸詩:
『蟾蜍醉裏破,蝶夢中殘。』
毎坐吟之。

予因請坐客各吟近日為詩者佳句,
有吟賈島『舊國別多日,故人無少年』,
馬戴『猿啼洞庭樹,人在木蘭舟』,又『骨銷金鏃在』,
有吟僧無可『河來當塞斷,一曰盡。山一曰岸。遠與沙平』,又『開門落葉深』,
有吟張『河流側讓關』,一曰山。又『泉聲到池盡』,
有吟僧靈准詩『晴看漢水廣,秋覺山高』,
有吟朱景玄『塞鴻先秋去,邊草入夏生』,
予吟上都僧元礎『守隔殘潮去』,
又『採藥過泉聲』,又『林塘秋半宿,風雨夜深來。』
予識蜀中客季子,毎云『寒雲生易滿,秋草長難高』。


ここからは、成式の別書。在襄陽節度幕府中唱和酬答之作らしい。

成式有《漢上題襟》十卷。

光風亭で芸妓を呼んでの夜宴とは、劉言史の詩が示す李尚書の襄陽サロンを指すか。
  「上巳日陪襄陽李尚書宴光風亭」 劉言史
 碧池萍嫩柳垂波,綺席絲纒草央M。
 爲報會稽亭上客,永和應不勝元和。

「漢上題襟」の書き方から見て、泥酔のドンチャン騒ぎに至ることもあったのだろう。かなり酔ってしまい殴打する者あり。しかも、顔に損傷を与えるほど。尚、ここに登場する温飛卿とは、成式の朋友である温庭[812-870年]のこと。
「唐詩紀事」54で触れられている話。
襄陽中堂賞花與妓人戯語成式嘲之曰…
成式不赴光風亭夜宴贈云…

光風亭夜
宴妓有
醉毆者温飛卿曰
 若状此便可以
成式乃曰
 胡雲彩落月痕消
又曰
 擲履仙鳬起衣蝴蝶飄羞中含薄怒裏帶
 餘嬌醒後猶攘腕
 歸時更折腰狂夫自纓絶眉勢倩誰描
韋蟾云
 争揮鈎弋手競聳踏謠身傷關舞捧心非効
飛卿云
 呉國初成陣王家欲觧圍拂巾雙雉飄瓦兩鴛


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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