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■■■ 「酉陽雑俎」の面白さ 2017.12.8 ■■■

鹿木

鹿猟の際には、柴を木々の枝に結んで身を隠すが、その時に使う横木を"鹿木"と呼ぶらしい。しかし、それとは全く無関係な樹木の話。・・・

【鹿木】,
武陵郡北有鹿木二株,
馬伏波所種,
木多節。


全く耳にしたことのない樹木名だが、それなりに使われていたのかも知れない。
《淮南子》曰:
凡幹木生鹿木根枝木者生於【鹿木】,
凡見葉落而知暮,故葉落而長年悲。

  [「藝文類聚」木]
鹿の落角を連想させる樹木であろうか。
ひょっとすると、鹿の肩甲骨を用いる卜占で用いる樹木だったりして。

日本の里山感覚だと、冬に向かって雑木林で柴を得やすいのは、栓皮櫟/d/アベマキ/Chinese cork oak。落葉はもちろんだが、自然落枝が多数発生するからである。(落ち葉は堆肥に、落ち枝は薪にされる。)
そんな類の樹木ということか。
節だらけとは、枝落ち多しを言い換えただけと見る訳である。

もっとも、手入れをしないでほったらかしにすると、樹木はどうしても曲がったり、節は多くなりがち。そう考えると、特別な樹種とも言い難い感じ。
その昔、馬伏波が故郷から持参した種を撒いただけで大きく育ったとの、伝説話ではなかろうか。

朗州武陵県[@湖南常徳]には。伏波将軍 馬伏波{=南越を平定したので有名になった馬援[B.C.14-49年]}を祀った祠があるからだ。どういう訳か、勝利祈願の祠という訳ではなさそうである。
  「經伏波神祠」  劉禹錫
 濛濛篁竹下,有路上壺頭。
 漢壘鬥,蠻溪霧雨愁。
 懷人敬遺像,世指東流。
 自負霸王略,安知恩澤侯。
 郷園辭石柱,筋力盡炎洲。
 一以功名累,翻思馬少遊。


(参考邦訳) 段成式[今村与志雄 訳]:「酉陽雑俎」東洋文庫/平凡社 1980・・・訳と註のみで、原漢文は非掲載.

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