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2004.4.21
 
 


英語が苦手な原因…

 2004年4月にベネッセコーポレーションが、日本、韓国、中国の高校生を対象にした英語力の調査結果を発表した。

 テスト総合得点で見ると、800点満点で、中国が432.6点、韓国が414.1点、日本が407.8点だった。
 日本は総合ではビリだが、実は「Writing」ではトップなのだ。
 つまり、「Writing」だけは得意だが、「Listening, Reading」が全くふるわないのである。(1)

 大方の予想通りと言えよう。

 そして、なんといってもがっかりさせられたのが、生徒の態度である。
 「韓国の高校生は自信があり、日本の高校生は必要以上に自信を持てていない」そうだ。
 韓国の高校生は、実際の英語力以上に、自分が「できる」と考えている訳だ。意欲が違うといえよう。

 こうした調査結果を見て、相変わらずのコメントがなされている。
 専門家は「日本の英語教育はまだ形式重視。英語をもっと実践的に使う場を増やすことが必要」(2)と語っている。

 10年以上前から言われていることを、また聞かされた、という印象である。

 ここに日本の英語教育の問題があるように思う。
 ずっと指摘してきたにもかかわらず、変化がないなら、改革のポイントが違うと考えるべきである。
 この状態では、いくら教師が頑張っても、たいした成果は得られないと思う。

 とは言うものの、流石に、なんとかしようとの気運だけは高まってきた。
 「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」(3)を遠山文科相(当時)が発表したのが、2002年7月のことである。

 目標が明確な構想だから、今までのようなお茶を濁すものとは違う。本気で打ち出した施策と言えよう。
  ・ 中学校卒業段階:挨拶や応対等の平易な会話(同程度の読む・書く・聞く)ができる。
  ・ 高等学校卒業段階:日常の話題に関する通常の会話(同程度の読む・書く・聞く)ができる。
 内容もかなり具体的である。
 実際に行動に移れば、相当な仕事量になるから、力作であることは間違いない。

 大臣自ら、積極的にこの内容を説明しており、教育目標を明確にしただけでなく、英語教員の質にも目標を設定し、生徒の学習意欲を高める方策を展開すると語った。(4)
 正論である。

 そして、「「英語が使える日本人」の育成のための行動計画 」(5)が2003年3月に策定された。

 2004年3月には、この行動計画の取組状況が報告された。さらに、関係者が一堂に会し、さらなる英語教育のための具体的な取組について意見交換が行われた。このフォーラムは盛況だったそうだ。(6)

 ようやく、動き始めた、という印象だ。だが、どうしても違和感が残る。
 欠けている点があるからだ。

 それは、自己主張できるような生徒を育てる、という視点である。

 そもそも、日常会話ができるように、できる限り外人に触れさせる、という類の施策は昔から行っていた。もちろん、それが不充分だから、英語力が身につかない、と総括することもできるが、本質は違うと思う。

 外人と話す機会が無いから、英会話が身につかないのではない。
 外人と話したい内容を持っていないから、英会話が身につかないのである。話す必要もないのに、挨拶や、自己紹介の仕方を暗記したところで、使えるようになる訳がない。

 実は、日常会話など、英語など習わなくとも、必要になれば身振り手振りでもできるものだ。お互い伝えたいことがあるなら、必死になってコミュニケーションを図る。それだけでも、会話は成立する。

 一方、伝えるものがなければ、話ができる訳がない。これが、日本の生徒の実態である。
 中国や韓国とは違うのである。

 話す機会を与えたり、英語勉学のモチベーション向上にいくら力を入れたところで、生徒側に、肝心の話す内容がなければ、簡単な日常会話を徹底的に教えても、会話は成立しないのである。
 重要なのは、生徒に自己主張させることである。自らの意見を言わせることが、英会話上達の第一歩なのだ。

 従って、英会話教育では、簡単な日常会話は避けた方がよい。おそらく、単なる暗記になってしまう。
 もっと複雑な内容を、少ないボキャブラリーで伝える訓練を行った方が効果があがる筈だ。
 このような方向に進まない限り、成果は限定的なものに留まると思う。

 --- 参照 ---
(1) http://www.benesse.co.jp/IR/japanese/release/pdf/20040412.pdf
(2) http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040412i312.htm
(3) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/020/sesaku/020702.htm
(4) http://www.mext.go.jp/b_menu/soshiki/daijin/020714.htm
(5) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/15/03/030318a.htm
(6) http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/16/03/04030401.htm


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