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2005.2.14
 
 


NOVA scienceNOW視聴感…

 米国のPBSの話だが、「NOVA scienceNOW」という科学新番組が2005年1月25日から始まった。(年5回放映)

 興味がある人には面白いと思う。

 “Mirror Neurons”など、たった14分のビデオだが、見ていて思わず唸ってしまった。
  → “Mirror Neurons”視聴 (QT, RV, WM)

 感想を書こうとすると、覚醒されるのか、頭の方が自然に動き始め、別なことを考えてしまうから不思議である。

 何を考えるかというと、・・・

 スポーツ観戦で思わず興奮してしまうのは、祖先から営々と受け継がれて来たコミュニケーション方法が復活しているのか。
 古代の言語とは、このようなものだったのだな。

 ついつい想いを巡らしてしまうのである。

 日本にも科学番組としては「サイエンス チャンネル」がある。CS放送だから視聴者は僅かだろうが、毎日放送しているらしい。
 この番組はウエブでも見ることができるのだが、知っていても、実はほとんど見たことがない。
 さっぱり見る気にならないのである。

 色々考えてみたが、子供相手にやさしく解説、という雰囲気が醸し出されているから、敬遠してしまうのだと思う。

 例えば、番組のタイトルは、「だて巻きができるまで」、「紙から再生木材!?夢のリサイクル技術を探れ!」といった調子だ。
  → 「だて巻きができるまで」視聴 (RPのみ)

 タイトルを見た瞬間、文部省特選映画鑑賞会時代を思い出す。
 未だに、なにも変わっていないとの印象を抱く。

 もちろん、この印象は実態とは違う。
 お金をかけて、人材育成をするようになったという点では大きく変わったからだ。
 「科学番組のプロデューサー、ディレクター、解説者等に活躍の場を提供することにより、科学番組の制作に係わる人材を育成する」ことを基本方針に掲げ、大々的に番組作りが行われているのである。

 おそらく、当事者は大満足だろう。

 しかし、いくら新機軸を打ち出しても、古色蒼然としたタイトルを続ける限り、「変わる」可能性は低いと思う。

 こうした番組で重要なのは、伝えたいことを正直に語ることである。
 かつての文部省特選が面白くないのは、つまらないメッセージを常に被せるからである。そんなものが楽しい訳がない。
 伝わるべき感動が、消え去ってしまうのである。

 タイトルが象徴的である。
 「だて巻きができるまで」

 何故こうしたタイトルになるのか、理解に苦しむ。
 伊達巻のレシピ公開番組なのだろうか。
 「ボーイング777のできるまで」と同じにする意味があるのか。・・・

 卵を使った惣菜商品の製造技術は凄いのだぜ、という感動を伝えたいなら、わかるようなタイトルにすべきだろう。
 1分間566個の卵を自動的に割る機械がウリなら、そう表示すべきだ。マヨネーズのような工業製品とは違うのに、ここにも進んだ産業技術が入っていると言いたいのなら、素直にそうした表現にしたらよさそうなものだ。

 “Mirror Neurons”の発想は全く逆である。
 先端らしい科学用語がタイトルである。まさに、その通りだ。先端用語に説明など不要である。
 ところが、視聴すると、スポーツ観戦という身近なシーンが登場。思わず引きずりこまれる訳だ。

 “swarmbots”を開発している若い研究者を取り上げた番組もあるが、こちらも秀逸だ。これなら、自分もロボット研究の世界に飛び込みたいと考える青少年がでてくる感じがする。身近感を感じるからだ。

 はっきり言えば、「サイエンス チャンネル」は身近感とは程遠いのである。
 失礼ながら、タイトルそのものが、ご教訓番組臭くて、ちっとも面白くないのである。


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