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2008.1.16
 
 


旧メディアはどうするつもりなのだろう…

 携帯電話・PHS加入者数は2006年末に1億人を超えている。普及率79.6%である。(1)
 このうち、インターネット利用者は7割近いようだ。膨大な数だが、さらに利用者は増えていくと思われる。

インターネット利用者(2)
-使用機器- 利用者数
PC+携帯 4,862万人
携帯のみ 1,921万人
PCのみ 1,586万人
 インターネット接続と言っても、現時点では、ほとんどがメール利用だろうが、将来的にはニュースを携帯で見るスタイルに移行するのではないか。
 現在は、送信料金がパケット当たりで高額だから、そう簡単に跳びつくとは思えないが、時間の問題ではないかと思われる。
 そうなると、記事は短信調になるだろうし、解説は箇条書きスタイルが好まれ、一目でわかる写真が多用されていくと思われる。それこそ、行間から読むスタイルは歓迎されなくなるに違いない。何を伝えたいのか、鮮明な視点を持ったメディアが伸びていくことになりそうだ。
 編集権が益々重要になるということでもある。

 こんな波が訪れれば、新聞でニュースをゆっくり読むことはなくなってこよう。
 すでに、首都圏では、実質的な新聞読者とは高齢層だから、それも当然かもしれない。
  → 「MSN産経ニュースを眺めて 」 (2007年10月15日)

NHKニュース
平日平均視聴率(%)*
- 時間帯 - 2007年 2006年
4時台 0.2 0.4
5時台 1.6 2.0
6時台前半 5.1 5.3
6時台後半 7.1 7.5
7時 8.5 9.9
12時 8.8 9.0
19時 11.9 11.9
21時 6.2 6.7
[視聴率1%= 118万人]
 そんなことをつい考えてしまったのは、テレビは番組の質が落ちているとの話を読んだから。新しい波についていけない旧メディアの体質がよくわかる指摘だったのである。

 2008年の正月は、“NHKの番組宣伝用の番組と再放送、再々放送だけが目立った。”(3-1)というのだ。
 しかも、映像の使い回しが始まっているとのこと。
 “同じ映像でまったく違う番組ができることはある意味で恐ろしい。新聞ではありえない。昔、問題になったやらせ番組よりタチが悪い。”(3-2)との批判には流石に驚いた。
 ここまで、テレビ界は追い詰められているのだ。

 NHKテレビの朝のニュース番組にしても、個人視聴率の低下が進んでいる。皆、見なくなってきたのである。
 それでも、テレビ番組全体で高い視聴率を誇る、夜の“NHKニュース7”だけは人気を維持しているようだが、視聴者の内実を見れば、高齢者が見ているにすぎないことがわかる。働き盛りの人はテレビのニュースなど見なくなっているということだ。
NHKニュース7平均視聴率(%)*
年代/性別 2007年 2006年 年代/性別 2007年 2006年
teens♂♀ 2 1 50歳代♂ 13 13
20歳代♂♀ 3 2 50歳代♀ 10 12
30歳代♂ 3 2 60歳代♂ 23 25
30歳代♀ 2 2 60歳代♀ 21 25
40歳代♂ 5 4 70歳上♂ 35 31
40歳代♀ 5 5 70歳上♀ 32 28

 おそらくテレビのニュースは衰退一途だろう。
 ともかく、視聴率はとれないのだから資源を回す根拠が薄弱。手抜き報道化になってもおかしくなかろう。

 それに、いよいよ、居間のテレビが、パソコンを介さずに、動画や写真のサーバーにインターネット接続できるようになる。(4)この力を見せ付ける出来事があれば、一気に流れが変わる可能性は高い。
 そうなれば、ニュースや天気予報のウエブに接続するようになっていく。
 テレビニュースの特徴は速報的に映像が流れることだったが、その魅力は失われるということ。
 テレビのニュース番組が生き残るためには、他のメディアからの情報の垂れ流しに徹するか、エンタテインメント化に向かうしかなさそうである。
 いずれにしても、今の放送の仕組みを続けていれば、本来の報道機能を徐々に削るしか手はない。
 それでよいのか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt01020101.xls
(2) 「通信利用動向調査」 http://www.johotsusintokei.soumu.go.jp/field/data/gt010106.xls
(3) junhara's blog: 朝日新聞社2004年定年退職のジャーナリスト(エネルギー・コンピューター・宇宙・通信・通商政策)のブログ
  (3-1) “手抜き目立った年末年始のNHKテレビ” [2008.1.6]  http://jun.typepad.jp/junhara/2008/01/post-bc46.html
  (3-2) “ここまで映像を使い回すとは” [2008.1.9]  http://jun.typepad.jp/junhara/2008/01/post-317b.html
(4) 「松下電器がGoogle、YouTubeと共に 写真と動画を消費者のリビングルームへ」松下電器産業プレスリリース [2008年1月8日]
  http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/jn080108-2/jn080108-2.html
(*) 「テレビ・ラジオ視聴の現況」放送研究と調査 [2007年9月]   http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/shichou/shichou_07090101.pdf
(携帯電話のイラスト) (C) (C) 3D+WEB MIX http://webweb.s92.xrea.com/


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