■■■ 「日本の樹木」出鱈目解説 2013.9.13 ■■■

   伝 救荒対策行政指導植樹木

リョウブは若葉や葉芽を炊き込み御飯にして食べることができるそうだ。
しかし、そんな混ぜご飯を実際に食べた人に出会ったことはないし、葉を天麩羅のメニューとして提供しているとの話も耳にしたことがない。たいして美味しいものではないということでは。
にもかかわらず、樹木解説には、必ずといってよいほど、食用にされたと記載されている。しかも、行政から救荒植物として植栽せよとの指示があったとも。

どう考えても、なんの栄養ももたらさない食材である。増量材にして空腹をしのげとの非科学的政策が打たれたことになる。救荒対策として、他にすることがなかった訳でもあるまいに、実に無能な政治。この木に宗教性でもあるなら別だが、そんなトンデモ政治に人々は喜んで従っていた訳か。
にわかに信じがたいが。

ただ、そう書きたくなるのはわかる。そうでもしないと木の名称の説明がつかないからだ。なにせ、漢字では「令法」となっているからだ。博学な方なら成る程そういうことで「リョウブ」と呼ばれるのかと納得されるのかも知れぬが、薄学の徒には、たいして意味がない木に、そんな重々しい名称をつける気が知れぬ。揶揄しているというなら話は変わるが。
別名は「畑積もり」らしいが、こちらはもっぱら歌の用語として使われた模様。これも、話を合わせるためか、田圃の面積に応じた栽培量を見積もるという意味から来ているとされる。
ますます腑に落ちぬ。山の畑で若葉「摘む」つもりとの感覚というならわかるが。

残念ながら、対案が思い浮かばないから、ソリャ余りにおかしいゾとの主張はできないので、この辺りで留めておこう。

小生からすれば、この木の一番の特徴は、樹皮が剥がれている点。冬枯れの時期だと、東京近郊の低山でよく見かける。手入れなき枯れた林に風情など全く感じないから、どうしても樹皮に目が行くにすぎないと言えなくもないが。
なかには、芸術的な剥がれ方の木もあり、つい見とれたりして。まあ、その辺りは好き好きだが。
茶室の柱にするなら、サルスベリより、こちらの方がよさげに思うが、素人考えかナ。

尤も、山草屋さん達は、花の季節に眺めに行くようだ。梅雨明けで暑くなった頃から開花するが、白い5弁の小さな花が密集した房をつけるので、えらく目立つ。と言うか、要するに、時期的に花を欠くからだが。そんなことで、おそらく、大人気の筈。
と言うことは、虫屋さんも、多分、大好き。この木に昆虫勢ぞろいの筈だから。網が届かなかったりして、苦虫かも知れぬが。
なにせ、花にたいして興味を覚えていなくても、この時期に沢道を歩いていると、この木に気付いたりするもの。
対岸の陽が当たっている木の上の方に白い花が沢山咲き乱れているからだ。足を止め、しばし鑑賞となる。
もっとも、公園にも植わっており、近くでよくよく観察すると、なぁーんだ、時々見かける地味な生花ではないかとなる。

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