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1999
 
 


今でも日本企業の品質管理は優れているのだろうか…

 日本企業の品質管理は天下一品といわれている。
 ところが、インターネット上で、「家庭電化製品の故障率が上がっているのではないか」と発言する電気店を見かけた。統計的データではないから、信用できかねる情報である。しかし、心配は深まる。ここの所、立て続けにおかしな事故が発生しているからだ。

 ・住宅地に隣接する工場での核反応事故
 ・「文殊」と名付けた最先端技術の粋を集めた施設での事故
 ・世界に誇るロケットの打ち上げ失敗
 ・新幹線トンネル内でのコンクリート崩落事故
 
 もちろん、これらを例外的事件と片付けることもできる。しかも、すべて互いに無関連である。日本を代表する生産現場で発生した訳でもない。
 だが、事故原因究明の姿勢はよく似ていた。いずれも、管理体制の不備を指摘し、管理強化を図るという考え方のようだ。どうも、こうした考え方は日本企業では普通の発想らしい。もし、これが、品質管理に対する典型的姿勢だとしたら、日本企業の品質管理の優位性に疑問を抱かざるを得まい。

 当たり前だが、問題が起きた時、重要なのは本当の原因を知ることである。その原因の徹底的究明によって、本質的解決が図れる。問題が起きないようにいくら管理を強化しても、気付かないような新しい事故が起きる可能性は常にある。従って、品質管理の真髄とは、マニュアル通りに動くことを確認することではなく、未然に問題を発見できる仕組み作りではあるまいか。これらの事故にしても、管理マニュアルをさらに詳細につくりあげることに力を入れれば、事故防止ができるとはとても思えない。管理強化を事故対策とすることに違和感を抱いた研究者は多い。
 事故や不良をゼロにすることは理論的に不可能である。いかに、起きる確率を下げ、重大事故を未然に防ぐかが最重要な筈だ。どの事故でも、そのような発想のマネジメントはしていないようだ。ひょっとすると、品質管理運動が過ぎて重箱の隅をつつくような問題ばかりに対応していて、システム全体の品質管理の発想が失われているのではないだろうか。


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