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2002.7.9
 
 


知的財産の「戦略」とは…

 2002年6月、知的財産戦略について 中間まとめ(案)が総合科学技術会議から公表された。 (http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu19/siryo2-1.pdf)

 「技術革新に対応した知的財産制度の見直し」を図る戦略的な提言らしいが、財産の創出・維持活動における課題と、財産保護の課題を一緒に記載しているため、極めてわかりにくい。内容も、「米国のバイ・ドール法の施策に追いつこう」との提案と、個別領域で直面している課題をまとめものにしか見えない。

 典型は、1番先に登場する課題だ。内容は、予算獲得。特許出願・維持費用の確保である。
 といっても、流石に役に立たない申請ばかり増えてもこまるから、「適切な評価・検討体制の整備」も必要と記載されている。しかし、指摘だけに留まる。ファンド提供者、インフラ提供組織、発明者、TLOが果たすべき役割や、相互プロセス、組織体制についての具体的提案は全くない。
 中間まとめ(案)は、このような「ヒトとカネ不足をなんとかしてくれ」型の話ばかりだ。これで、どう「戦略」提言をするつもりなのだろう。

 そもそも、財産を増やすつもりなら、まずは、現行の財産規模と将来目標を示すことが出発点だろう。その上で、これに対応する運営体制を提起すべきだ。
 例えば、財産収入から、TLOがオーバーヘッド費用として1割確保し、残りの9割をファンド提供者、インフラ提供組織、発明者、で分けるというモデルを作る。そこで始めて特許出願・維持費用確保策が語れる。


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