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2003.4.28
 
 


製造「親」会社問題…

 2003年に入り、大手メーカーの大半が、どうやら赤字基調を脱することができたようだ。このため、国内の製造子会社問題を解決できれば、なんとか生き延びることができる、との自信がでてきたようだ。

 確かに、いまもって、生産子会社問題は深刻である。親会社が「売れる」製品を開発し、黙って待っていれば生産委託が舞い込む体制が続いているからだ。これでは、この先、生き延びれるとは思えない。モノを作っていれば利益はついてくる時代は、とっくに終わっている。
 実際、2000年から、次々と生産子会社が破綻に直面した。そのため、人員削減、設備集約、合併等の合理化が進んでいる。2003年時点では、合理化第一段階として不可欠な施策はほぼ完了したといえよう。
 しかし、これで、生産子会社が立ち直ったとはいえまい。中国の生産子会社や、下請専業企業と比較して、コスト競争力がついたとは言い難いからだ。

 第二段階の打ち手が必要なのは、はっきりしている。しかし、新施策の立案ができない企業が多い。
 製造子会社問題の本質はここにある。子会社が施策立案に積極的に関与しないから、実践的な施策が案出できないのだ。親会社にまかせておけば、利益は後から生まれるとの体質は今もって変わっていないといえよう。
 といっても、実質的なマネジメント権限が付与されていないのだから、こうした態度は当然かもしれない。権限を与えずに、親依存脱皮を図れと主張しているのが実情なのである。

 このような企業では、グループとしての収益性の経営目標を掲げても、さっぱり実績があがらない。上から、下まで忙しく対策に駆け回っているが、目標の大幅未達だらけである。
 実は、成果をあげていない親会社の部署が、子会社の成果を自部署の成果に見せる仕組みができあがっているからこうなる。子会社の技術屋が目標を目指して血のにじむような苦労して実現した利益を顕在化させないように工夫しているのである。

 そのため、製造子会社に移籍させられたエンジニアの不満は爆発寸前である。培ってきたプロセス技術力で徹底的なコストダウンをしても、その成果がさっぱりあらわれないのだ。
 技術者には、成果を収奪されている仕組みが、わからないためフラストレーションが溜まるのである。

 この仕組みは単純である。
 親会社の調達部門は、製造子会社トップと交渉して、買戻し価格を設定する。
 ところが、子会社で記帳される経理上の数値は成行値だ。買戻し価格は、とりあえずの設定であり、経理上は、なんの意味もない。子会社は、設定された買戻し価格より低い値を実現すべく合理化努力をするが、こうして実現した差額は経理上に現われない。子会社の利益には繋がらないのである。
 もちろん、合理化を実現すれば、担当技術者は、子会社のトップから誉められる。しかし、それだけである。この成果は、親会社の調達部門に移転したのである。調達部門は、このことを知っていながら、単価差分の子会社振替をしないのである。

 何故こうなるかといえば、このような企業の調達部門にはプロフェッショナルが育っていないからである。納期、安定供給、品質、等を考えて、最適調達を図る自信などないから、製造子会社の力に頼り続けている訳だ。実際、コストが高いと称される内部調達から外部調達に変更しても、利益が向上しないことが多い。
 スキルを磨いてこなかったため、製造子会社に合理化差益を振り替えると、調達機能では利益を出せなくなるのである。

 こうした状況を本当に突破したいなら、調達部門と、製造子会社マネジメントに、プロフェッショナルを登用する必要がある。利益を出している企業から調達のプロフェッショナルをリクルートするのは難しいことではないし、製造子会社のマネジメントに適任者を送り込み、権限委譲するのも、経営者の意志さえあればすぐに実現できる。子会社の親会社依存体質が強すぎるなら、MBOを導入することもできる時代である。単純な意思決定だけで解決する。

 製造子会社の改革が難しいと語る人が多いが、問題は親会社の方だ。親会社の経営幹部の考え方を変えることが難しいのである。


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