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2004.4.2 



丸暗記教育防止策…

 先日、医療器具メーカーの方とお会いし、医学生の勉学の話しになった。

 医療技術は日進月歩なので、昔と比較にならないほど、学ぶべき量が膨大になっているそうだ。
 例えば、手術の手順にしても「電気メスをセットしたら、コードを頭側に垂らす」といった、コードの位置まで覚える必要があるらしい。
 コードの位置は、頭側か、側部側か、との設問に対して、正答を要求されることになる。

 素人から見れば、覚えるだけでも大変だと感じるが、ほとんどの学生は正解できるという。

 ところが、「コードを頭側に垂らす理由は?」と尋ねると、答えられない学生もいるらしい。

 こんな話しをすると、それ見たことか、との調子で、丸暗記教育の弊害例にあげる人がいる。
 そのため、こうした話しはできる限り避けるのだと言う。

 丸暗記では応用が効かないから、良くないのは、当たり前である。しかし、このような些細な問題まで、取り上げるべきではなかろう。
 「考える」教育は、価値ある分野で行なうべきで、大した意味もない問題まで、じっくり考える習慣をつける教育は時間の無駄だと思う。

 お医者さんには、医療の本質的な問題の方に、頭を使ってもらいたい。

 そのためには、医療器具メーカーに知恵をふるってもらうしかあるまい。

 「コードを頭側に垂らす」ことを覚えなくても済む装置ができれば、手順書は簡素になり、覚えることもずっと少なくなる。
 医療ミスも防げる筈である。


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