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2004.11.10 
 
 


新球団の地域経済への貢献度…

 「新球団誕生で地域経済活性化」との話がそこここで囁かれているので、驚いた。
 お祭り効果のような、心理的な効果はあるだろうが、実質的に大きな経済効果を生むとは思えないからである。

 オーナーは、インターネットでの取引での口銭ビジネスを主体とする企業なのだ。
 ネット企業は、土着の鉄道会社とは、全く性格が違う。地域開発事業に魅力を感じるとはとうてい思えない。

 この常識が無いのか、派手な動きがあれば、それだけで十分と考えてのことかは、さっぱりわからないが、経済効果を狙った動きが進んでいる。

 宮城県知事は、早速、新球団の親会社に「地元での雇用拡大」を要請し、新規採用1人当たり30万円の補助金を出すことを約束した。(1)

 しかし、ネット企業であるから、新規採用はインターネット公募になる。
 ネット企業が、地域に固着する方針を採用すれば、自分の首を絞めることになりかねない。非合理的な地域重視策をとれる筈がないだろう。
 (ビジネスが成り立つなら、関西だろうが、長野だろうが、設立場所は、どこでもよいのである。もともと当該地域のために設立した球団ではない。
 従って、地域住民が直感的に、対抗馬の方を好んだのは当然だろう。)

 インターネット販売がコア事業の企業なら、野球をどのようにして活用して、自社ビジネス強化できるか、熟考するのが普通だ。
 この観点での地域重視とは、地域に奉加帳を回して、自社の投下資本をできる限り抑える方針となろう。
 (オーナー選定の最大の根拠は、赤字に耐えられる財務基盤があるか、という点だった。選定理由は、収益計画の卓越性ではない。
 つまり、新球団は宣伝材料としての役割しかあるまい、と見なされた訳である。
 もっとも、選定母体のモラル自体に問題があるのだから、選定基準を議論したところで意味はないかもしれない。(2))

 つまり、宣伝活動の成功とは、少額投資で、地域の小売業から販売シェアを奪取すること、と言わざるを得ないのである。
 そうして生まれた収益から、球団運営費用が捻出されるだけの話である。

 繰り返すが、オーナー企業の業態は、取引口銭ビジネスなのだから、ビジネスに徹するなら、新球団は宣伝媒体以外のなにものでもない。

 「県では、新たな雇用者が消費に回ることなどによる間接効果を約49億円と算出していたが、このままでは絵に描いたモチに終わりそうだ。」(1)との新聞記者の予測が当たる可能性は高い。

 --- 参照 ---
(1) http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200411/sha2004110301.html
(2) http://www.business-i.jp/news/for-page/kimura/art-20041021145407-VVOXOFMZRT.nwc


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