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2007.12.27
 
 


寿命差の遠因…

 2007年12月、2005年の国勢調査ベースでの県別の平均寿命結果が発表された。一様に寿命が延びたが、県毎に状況は相当違う。

 長寿県と言われていた沖縄では、男女ともに65歳と75歳の平均余命は相変わらず全国1位だが、男の寿命で見れば25位。若者の余命が短いということ。
 依然“危機的状況”(1)と見ているようだ。

 一方、最下位県は、1位との差が、女性で2.08歳、男性で3.57歳と、特に男性でかなり大きな差がでてしまった。右図を見ても、突出して短い状態が続いている。
 もともと、1980年段階で、全体では、平均より2.16歳短かかった。その後、他県の後を追いながら改善が進む状態が続き、1990年には、1.86歳と縮小したのである。しかし、そんな傾向も見られなくなってしまった。(2)

 こうなったのは、がんの死亡率が全国一であることが大きいようだ。そして、元凶は、“健康に対する認識が足りない”(3)こととされている。
 そのため、“食生活の改善を訴える”(4)そうだ。
 しかし、それは簡単ではなかろう。この地域は出稼ぎ労働者が多いことでも有名だからだ。しかも、新生児や乳児死亡率が高いようだから、医療基盤や生活スタイルにも問題がありそうだからである。(5)

 こうした県の場合、特徴的なのは、男女の差が大きいという点である。
 右図でわかるように、この差が格段に大きい県が存在する。
 それは、女性の寿命がトップの県にも当てはまるのだ。

 これが何を意味しているかは、男女の寿命差と、県民一人当たりの所得で散布図を描いてみるとすぐにわかる。東京都の所得だけは群を抜いているから例外だが、両者には明瞭な相関関係が見てとれる。
 県という広域の数字にもかかわらず、これだけはっきり傾向がでるのだ。

 こんなことは、前からわかっていた筈だと思うが。

 --- 参照 ---
(1) “平均寿命 延び鈍化、依然ピンチ” 琉球新報 [2007.12.18]
  http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-29820-storytopic-1.html
(2) 鎌田明美,他: 「青森県の平均寿命に関する研究」 [2000年]
  http://www.niph.go.jp/kosyu/2000/200049010014.pdf
(3) “平均寿命、また全国最低” 朝日新聞 青森 [2007.12.18]
  http://mytown.asahi.com/aomori/news.php?k_id=02000000712180004
(4) “平均寿命最下位のまま 食生活改善県が重点対策,取り組みに限界も” 読売新聞 青森 [2007.12.18]
  http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/aomori/news/20071217-OYT8T00633.htm
(5) 「青森県の男性の平均寿命について(概要版)〜社会生活統計指標(都道府県の指標2002)からみて〜」 [2002年] http://www.pref.aomori.lg.jp/tokei/lib/report/pdf/14ken02s.pdf
(図のデータ) 厚生労働省「平成17年 都道府県別生命表の概況」 “都道府県別にみた平均寿命の推移”
  http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/tdfk05/03.html
  総務省統計局「統計でみる都道府県のすがた 2007」
  http://www.stat.go.jp/data/ssds/zuhyou/5-33.xls


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