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2008.5.26
 
 


アンテナショップが流行らしい…

 東京にはいわゆる地方のアンテナショップが沢山ある。デパートの名産品コーナーはわかりきったものしかないが、こちらは見かけない商品が並ぶから、結構楽しいものである。全部見た訳ではないが、お店はピンキリ状態と言ってよいだろう。
 築地市場内とか、レストラン中心だったり、インテリア展示といった店はなにをしているかわかり易いのだが、観光産業振興を兼ねた物品販売店だと、どんな顧客を対象としているのかよくわからないものが多い。

 なかには、販売所近辺のマンション住人に生鮮品を売っているとしか思えない店もあったりする。儲かるとは思えないし、商品管理だけでも大変な労力ではないかと思う。それに見合った効果があるのだろうか。
 生鮮品は、時々、展示即売会を開催する程度で十分ではないかと思うのだが。

 そんな印象しかなかったのだが、最近、「ふくしま市場」(1)の話を耳にした。開店は2006年8月で、今までのアンテナショップとは全く違うコンセプト。なにせ、葛西のイトーヨーカドー店内にあるのだ。
 こうなると、生鮮だろうがなんだろうが、日常品が売れる。しかし、今度は、欠品対応や品質維持が要求されかねないから、大事である。おそらく、不退転の決意で臨んだのだろう。

 その努力の結果か、 2007年度売上が目標の1億円を突破したそうだ。(2)
 目標に到達しなければ、不要テナントと見なされるに違いないから、緊張感があって、なかなか面白いやり方である。
 しかし、よく考えれば、本来なら、こんなことは民間の事業家が行うべきこと。商売に不向きなお役人が動かないと、できないとは思えない。この辺が一番の問題と言えそうだ。

 この店内ショップ、品数は1,000だが、売れ筋は、以下のようなものらしい。(3)
  ・福相食品工業(4)「あら挽きポークウインナー200gグラム」(\210)
  ・三万石の洋菓子「ままどおる5ヶ入り」(5)(\420)、
  ・福島乳業(6)のジュース「ももまるごと 1個」(\105)
  尚、木村ミルクプラントのプリン(7)がギフト商品に選ばれているとのこと。
〜在東京物産販売所の例〜
新潟館「ネスパス」 >>> 表参道
ふくい 南青山291 >>> 表参道
広島ゆめてらす >>> 新宿
新宿みやざき館KONNE >>> 新宿
やまがたプラザゆとり都
 
>>>
 
虎ノ門
(→銀座)
とくしま藍あいプラザ >>> 虎ノ門
香川・愛媛のせとうち旬彩館 >>> 新橋
(鳥取県) 2008.7 >>> 新橋
北海道どさんこプラザ >>> 有楽町
花まるっ秋田ふるさと館 >>> 有楽町
かごしま遊楽館 >>> 有楽町
いきいき富山館 >>> 有楽町
滋賀県東京観光物産情報センター >>> 有楽町
わかやま喜集館 >>> 有楽町
加賀・能登・金沢 江戸本店 >>> 有楽町
銀座熊本館 >>> 銀座
銀座わしたショップ >>> 銀座
いわて銀河プラザ >>> 東銀座
(群馬県) 2008.7 >>> 東銀座
コウチ・マーケット >>> 築地
ながさきぎょうれん東京直売所 >>> 築地
京都館
 
>>>
 
八重洲
(←赤坂)
にほんばし島根館 >>> 日本橋
おいでませ山口館 >>> 日本橋
富士の国やまなし館 >>> 日本橋
青森県特産品センター >>> 新富町
あおもり北彩館東京店 >>> 飯田橋
宮城ふるさとプラザ >>> 池袋
ふくしま市場 >>> 葛西

 ビジネスマンならこの結果を見て、まあ、そんなところだろうという印象を持ったに違いない。

 まず、飲料系だが、ご当地イメージがあり美味しいなら、それなりの市場があることはよく知られている。桃は福島産イメージがあり、“まるごと 1個”でこのお値段なら、都会のスーパーで人気がでて当然だろう。原価を考えると、一般企業が避けそうな商品だし。
 この値段なら、どうして、こういう商材がコンビニ辺りに流れなかったのか不思議な位だ。まあ、この手の商材は生産規模と質が反比例しかねないし、地場品は欠品の恐れがあるから、バイヤーが避けるのだろうか。

 他の製品は、「福島」産品イメージとは直接繋がらないが、どの企業にもチャンスがあるという分野だろう。
 肉加工品はスーパーの嬉しい商材だ。質が良く廉価で、安定供給可能なら、特定牧場産製品の棚を提供してもおかしくないのである。
 ただ、競争は熾烈である。なにせ、田舎に行けば、素晴らしい舗装道路に沿って、時々稼動するらしい綺麗なハム工場に出会ったりするからだ。

 もう一つは菓子だが、これは地方では生活必需品。茶文化が根付いている加賀や松江の話ではない。おつきあい用に不可欠ということ。
 従って、各地域毎に工夫した菓子がある。美味しければ、東京でも売れる。それだけのことだろう。

 おわかりだと思うが、売れ筋商品とは、土着の伝統文化のお蔭で売れた訳ではない。それぞれの企業の努力の結果である。

 なぜこんな話をするかといえば、1000点もの商品を並べないと、こうした商品が見つからないのか、という疑問を覚えるからである。
 特徴のあるもの、美味しいもの、廉価なもの、といった評価もしないでアイテムを並べる販売店はあるまい。
 もともと、これは販売事業ではないということかも知れないが、まさか、このような商品が売れると観光に役に立つと言うつもりではなかろう。
 紙パックの\105飲料を目当てに旅行したい人が出るとは思えないし。

 ちなみに、東銀座にある岩手県のお店の売り上げはこの5倍。(8)アイテム数は1,800だとか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.bpf.or.jp/fukushima/uresujibest/uresujibest10_19.html
(2) “県アンテナショップの売上額が1億円を突破” 福島民友ニュース [2008.4.18] http://www.minyu-net.com/news/news/0418/news5.html
(3) http://www.bpf.or.jp/fukushima/uresujibest/uresujibest10_19.html
(4) http://www.madeinsoma.com/inninfo/SHFA701/
(5) http://www.chuokai-fukushima.or.jp/ksk/mamador/
(6) http://www.fukuchan-milk.co.jp/index1.html
(7) http://kimura-milk.co.jp/original_gift/original_gift.html
(8) “県産品販売歩み着実 東京・いわて銀河プラザ” 岩手日報社 [2008.4.16]
  http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20080416_16
(店舗一覧) アンテナショップ 自治体ドットコム  http://www.jichitai.com/link/01_012.asp
(アンテナの写真) (C) photolibrary http://www.photolibrary.jp/


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