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2010.2.15
 
 


二輪車事業を考えてみた…

HONDAの二輪事業は業容回復の流れに乗ったように見える。
 2009年2月に入り、昨年末〆の四半期決算が続々と発表されている。
 小生が一番興味をもっていたのが、オートバイ産業。どんな状況か本田技研工業で見てみると以下の通り。 (1)

・二輪事業売上(2009年4〜12月[9ヶ月]):
  -台数は703.7万台で前期比-13.3%。(直近の四半期は-5.0%。)
  -金額ベースでは、8,051億円で-29.2%。
  -アジアが557.5万台、日本、欧州、北米が13.1、14.0、14.4万台、他が104.7万台。
  -直近の四半期はアジア地域で増加。
・二輪事業営業利益[9ヶ月]:
  -308億円で-70.0%。(直近の四半期は-37.2%。)
  -第1四半期から、利益率が2.2%、3.4%、5.8%と上昇が続く。
  -増益要因は、販管費/研究開発費の減少。
・二輪市場環境:
  - ベトナムでは前年同期に比べ大きく市場の拡大が続く。
  - インドネシア・タイでは前年同期に比べ市場は縮小から拡大に転じる。
  -米国では前年同期に比べ市場は大きく縮小。
・全事業の為替影響額は-1,971億円。[9ヶ月] (二輪事業は全社の売上高では13%程度。)
    ドル7円安で-540億円、ユーロの7円高で-142億円、他通貨/通貨間が-402億円/-287億円。

 流石、足腰が強い会社。しっかりと利益を出している。

グローバルでの競争を考えると日本国内体制の縮小しになるのでは。
 と言っても、気になっているのはそこではない。今後、日本国内の研究開発と生産がどうなりそうか気になるということ。

 その理由は説明する必要もないだろう。ご存知のように、自動車産業とは違い、グローバルプレーヤーは、日本企業(HONDA, YAMAHA, SUZUKI, KAWASAKI)一色だからだ。対抗するのは、東アジアのローカルプレーヤーだが、すでに淘汰され、力があるのは中国企業だけと言ってよいのでは。
 バイクマニアの視点からすれば、欧米企業(HARLEY, DUCATI, BMW, TRIUMPH, PEUGEOT,・・・)もあるとなるだろうが、それは高級セグメント専門企業。ビジネスマンならセグメントキラーの台湾メーカーも入れたくなるかも知れないが、どう見たところでメインストリームで競争する力はなからろう。

 ここまで強い日本企業だが、問題はその地位を維持するためには、さらに新興国市場に力を入れることになる訳で、日本国内での研究開発/生産体制を今のまま続けることができるかの岐路に立たされているのではないか。
 未だに、日本国内に大きなアセンブリ工場があるようだが、そんなことが続けられるだろうかということ。

 世界で見れば、オートバイ産業は成長産業であるのは間違いないが、それはあくまでも新興国の話。小型が爆発的な伸びを示すのは間違いない。先進国の中・大型は経済が立ち直ってもせいぜいのところが、堅調な需要といったところだろう。
 従って、地位を守りたいなら、新興国市場での競争に経営資源を投入していくべきなのは自明。そうなれば、国内工場維持は難しいのではないか。
 そして、工場が手薄になれば、生産技術の部隊を国内に置く必要もなくなるし、作り込みの開発をしたければ、開発拠点も動くという順番になって行かざるをえまい。

国内体制のスリム化は避けて通れまい。
 この課題がどの程度のものか、日本の二輪車出荷統計の数字で確認してみようか。

〜二輪車出荷[台数](2)
-年- 50cc以下 原付 軽二輪 小型二輪
【国内】
2007 457,711 100,727  86,121  40,448
2008 295,727 120,990  55.694  50,042
2009 255,559  65,844  37,188  22,417
【輸出】
2007  34,191 134,570 177,673 886,379
2008  36,234  95.214 149,930 721,789
2009  14,493  44,608  99,898 382,960
 先ず、中・大型の数字を見て欲しい。惨澹たる状況なのは一目瞭然。
 教科書的に考えれば、主力の高生産性のラインに集約して、それ以外は速やかに閉鎖するしかない。

 中・大型二輪は、今後、先進国への輸出市場の回復期待もゼロではなかろうが、時間はかなりかかる。一方、50cc以下の国内市場はどうにもなるまい。本来、このクラスはコスト競争の世界で、先進国ではマイナー。狭い国土と隘路の道ばかりの日本だからこその市場ではないか。こうした市場は、一端落ち込めば、そう簡単に回復しまい。
 さらに、このセグメントは、環境問題から、電動自転車との競争にも晒される。言うまでもないが、電動自転車が主流になれば、研究開発から生産まで、現在のような大きな部隊は不要となってこよう。

 将来をどう読むかによるが、普通に考えれば、国内体制の大胆なスリム化を一気に進めるしかなくなってしまったのでは。

 --- 参照 ---
(1) 本田技研工業株式会社 2009年度 第3四半期 決算説明会資料 [2010.02.03]
   http://www.honda.co.jp/investors/financialresult/2009/2009_3rd/Financial_Result_2009_3q_J.pdf
   http://www.honda.co.jp/investors/meeting/2009-3q/2009-3q-all-j.pdf
(2) 「自動車統計月報 2010年1月号」 日本自動車工業会
   http://www.jama.or.jp/stats/m_report/pdf/2010_01.pdf


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