■■■■■ 2011.2.21 ■■■■■

 政党政治終焉に引きずり込みたい人だらけ。

--- 菅首相のお陰で、既存政党すべての支持率が下がった。 ---
 2011年2月17日、唯一信用できそうな世論調査である、時事通信社の内閣支持率データが発表になった。予想より支持率が高いと感じた人が多かったのではないか。
    支 持-----17.8%
    不支持-----63.7%
 支持が結構持続しているのは、自民党政権に戻るのもこまるということのようだ。支持17.8%のうち「首相を信頼する」を理由に挙げた人はその四分の一以下でしかなく、「他に適当な人がいない」、「誰でも同じ」が主な理由だからだ。だが、4.2%もの人が支持しているのには正直驚いた。共産党や社民党ならわかるが、何の定見も無い政治屋にいったい何を期待しているのだろうか。この数字には気味悪さを感じる。

 しかし、なんといっても今回特徴的なのは政党支持率の数字。
 支持政党無しが6.5%も上昇し、政党支持率が軒並み下がったのである。民主党が落ち込むのは当たり前だが、自民+公明も、当然届くべき20%に達せず18%弱なのだ。みんなも支持が落ちている。自民党政権時代の増税派が取り込まれた政権運営が始まったから、既成政党を信用する人が減るのはわかりきったことだが、改造内閣発足で内閣支持率が微増したから意外に思っていたが、やはり来たという感じ。
 従って、衆議院選挙に流れこんだら、どんな状況になるかは不透明。大波乱もあるかも。ただ、すでに支持率が12%弱にまで落ちこんでいる民主党の惨敗だけは確実。大物軒並み落選と180議席未達となっても驚きではなかろう。

 そんな状況だと、菅首相は、解散を脅しにして椅子を死守する策にでるしかない。ポストを与えられて喜んでいる面々や、落選確実層はそれを諾とするだろうから、政府の機能は麻痺し、どうにもならなくなりそうである。そして、それを傍観するだけの無策の野党という構図が出来上がる。
 こうなれば、二大政党制度の実質的崩壊。マニフェスト議論など見向きもされなくなろう。日本の政党政治はついにドン詰まりに追い込まれたのである。

--- 民主党の次の人材もどうも今一歩臭い。 ---
 それにしても民主党の人材の質には恐れ入る。自民党の末期も酷かったから、民主党に期待する方がどうかしていると言われれば、その通りかも知れぬが。

 ともあれ、民主党の長く続いたトロイカ体制は崩壊したようで、次の層が動かざるを得ないのだろうが、これも又なんだかねという印象は否めない。

 一人はお気軽そのものの「おっちょこちょい」。
 つまらぬことで代表辞任に追い込まれたのも、いい加減な情報をろくに確かめもせず乗ったため。ものの見事に仕掛けに引っかかったのである。性格を見抜かれていたのであろう。お陰で、一緒に乗せられた議員は自殺に追い込まれ、悲惨なことこのうえなし。スピード感なき政治を打破する意味では、最高の人材と言えないこともないが、危なっかしいことこの上なし。
 地域のパワーバランスが崩れ始めている時であり、間違えて戦争になってしまいましたでは済まないのだから。

 もう一人は、ピント外し連発の「頑固者」。
 筋を通すと言えば聞こえはよいが、時代感覚が鈍い結果では。今回も、新議員達による会派離脱届の提出に際して、よりもよって、「パフォーマンスといわれても仕方ない」と発言。政治的センスが欠落しているのか、状況変化への感受性の鈍さは特筆もの。新しい時代を切り拓く役割は期待できそうにない。
 米国のティーパーティ[]の動きも視野外のようである。既得権益層のために税金を湯水の如く垂れ流す既成政党の力を削ぐという主張が米国では野火の如く広がったが、それは米国だからとはいかないのは、名古屋でおわかりになった筈。応援団を大挙して送り込んで、反増税の「減税党」に対抗すれば、逆効果になりかねないことさえわからないのである。
 マスコミが揃って増税支援だから、自分の言動のピントがずれていることに気付かないのだと思われる。真面目な人柄とされているようだが、政治的センスを欠いているだけのことでは。

--- 終焉したトロイカ体制の3兄弟もなんだかね。 ---
 こんなことを書いていて、ティーパーティーが気になったので"トロイカ体制"と一緒に日本語で検索したら、イの一番にあがっていたのが、「バカ」、「ズル」、「ワル」の三兄弟物語。
 なかなかよくできていると感じ入った次第だが、マスコミに評論家として登場する、"かんべえ"こと吉崎達彦氏の作品だった。(2011年2月17日発表)

 思想的な風刺ではなく、ウケ狙いの、天下取り政局面白話に仕立ててあるのだが、いかにも日本的な感じだ。流石、マスコミの寵児だけのことはあると思ったが、よく考えれば、現首相に至っては、なんの信念もなく、マスコミの論調に合わせてのし上がってきた政治屋にすぎないから、政治思想風刺などできないのである。
 考えてみれば、三兄弟の生き様こそ、崩れ行く日本社会そのものと言えるのかも。政治の世界だけが特殊な訳はないのだから。

 ついでだから、この三つの卑語で象徴されている人材を考えてみようか。

 まずは「バカ」。
 「馬鹿」と書くことが多いが、サンスクリット語の当て字とされる。もともとは無知蒙昧の意味らしいが、現代用語では、理解能力に欠けるという意味が強そうである。と言っても、揶揄するための用語だから、そんな意味を考えず使うことが多く、はっきりした語義がある訳ではなさそうだが。
 鳩山前首相の場合は、思慮の一欠けらも感じられない政治を進めたから、一番当たっている言葉は"バカ"よりは、英語の"Loopy"ではないか。こんなことを言われるだけでも、トンデモ政治家という感じだったこと歴然だが、権力の座から降りても、怒りを呼んで当たり前の発言をわざわざするのだから、驚かされた。
 なにせ、琉球新報が社説(2011年2月14日)で「万死に値する大罪」と書くほどである。そうなることさえわからない御仁のようだ。これでは確かに"バカ"と呼ばれても致し方あるまい。

 その「バカ」の盟友は「ワル」。
 漢字では「悪」で、読み方は呉音も唐音も"アク"。その意味は倫理に悖るということ。一方、"ワルい"は訓で、こちらは少しニュアンスが違いそう。和語だと倫理性の感覚が薄れており、もっぱら、性状が周囲の状況に合わないという表現になる。現代用語は、この両者の習合といったところか。
 それを考えると、小沢前代表を表現するには最適な和語かも。実現課題を設定し、そのためならいかなる摩擦も厭わない政治家という印象を与えてきたからだ。
 政治は金がかかるという現実を踏まえて動くから、日本一の嫌われ者だが、何を言われようがそれを気にせず動くことも、傑物としての「ワル」的雰囲気を醸し出していると言えそう。ただ、現実を見ると、政争の結果、必ず敗者になっている政治家でもある。・・・自由主義的政治家のはしりだが、結局は小泉政権に上澄みを浚われただけだし、小選挙区制推進論者として政治を変えたのは確かだが、政権交代をようやく実現すればしたで追放の憂き目。"普通の国"論者とされるが、反米的な心情を感じさせるから、下手に動かれるとこまる人が多く、パージされてきたとも言えそうだし。

 最後は「ズル」。
 "ズルい"に対応する漢字は無いようで、この言葉の発祥元はよくわからない。一応、「狡(こす)い」を無理に"ズルい"と読ませるようだが。
 似た言葉として「獪(わるがしこ)い」や「灰汁(あ)・くどい」があるが、似て非なる概念。前者は権力奪取のために上手く立ち回るタイプを指すし、後者は徹底した利益追求タイプである。これに対して「狡い」は"狡猾"という言葉が示すように、不正で勝利すること。
 ズルの意味は「狡い」に近いのだろうが、"こすい"とは違い音が濁っている。このことは、人に嫌がられるようなやり方で勝利を収めるという意味なのでは。漢字にはありえそうもない概念である。好かれて権力奪取などありえないからだ。ただ、それは日本でも同じことが言えるから、偽りの姿で動くため周囲に災禍をもたらすといった意味かも。
 それならピッタリでは。

 "かんべい"氏は、"いちばん罪が重いのは「バカ」ですな。"とされるが、小生は「ズル」だと考える。「ズル」とポスト漁り屋が主導する政党政治が行われていることが筒抜けになれば、社会がどうなっていくかは自明だからだ。

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