■■■■■ 2011.9.9 ■■■■■

 現代の松下村塾は失敗で終わるのか

新内閣はあいも変わらずの、方向性喪失状態。チームもなにもあったものではない。それでも、判断力ゼロとしか思えない宰相が消えただけでもよかったと考えるしかないようだ。しかし、それに意味があったと言えるか、はなはだ疑問。それこそ、政治主導で、落とせるところまで落とした方がかえってよかったような気もする。
そういう観点で、松下政経塾を立ち上げた江口克彦参議院議員(みんなの党比例代表)の野田評をお読みになるとよいかも。

言うまでもないが、野田首相は「在日外国人地方参政権に反対で、集団的自衛権を肯定し、靖国神社に参拝すべきと考えている」真性保守である。「もともと自民党に入りたかった。だが、かつての自民党は松下政経塾出身者を毛嫌いしており、かなわなかった。やむなく」という経歴の持ち主でもある。
日本の政党が選挙互助会であることがよくわかる話。

ともあれ、注目すべきはその評点。人望だけは10点満点の7で及第点のようだが、判断力と迅速的確な対応力がなんと3だ。世界が動揺している時にこんな宰相はこまるぜ。しかも、人間性に至っては2と、お話にならない。
もっとも、それでも前首相や代替候補よりはずっとましという話ではあろうが。

それにしても、野田首相は政経塾でなにを学んだのだろうか。

その指摘には驚かされた。・・・
"塾で叩き込んだ松下幸之助の教えは「まず自分で考え、結論を持つ。多くの人の話を聞き、自分の考えを合わせた上でベストの結論を導き、決断、実行する」だった。財務相としての姿は「自分で考えないままに、結論を出している。政経塾で、学びきっていなかったということだ」"
要するに、日本の政治風土のなかで上手に食べていける職業政治屋は育成できたが、社会を変革しようとの気概を持った政治家を生みだすことはできなかった訳である。
なにせ、「松下政経塾出身」と名乗ってもらいたくない前原誠司前外相のような怪物まで生み出してしまった訳だし。
幸之助翁の巨額な教育投資は失敗したと言わざるを得まい。

日本の民度というか、社会文化を考えれば、それはわかりきったことだったのかも。
所属する組織のなかで出世することに注力しない限り力を発揮する場を与えられない仕組みだからだ。その枠組みを突破する革新的な発想を生み出すための刺激を与えないから、教育の過程でいくら視野を広げたところで、結局は視野の狭い人物を作り上げることになってしまう。

エリートを育てる筈の有力大学の状況を見れば、もともとわかっていた話。蛸壺組織のなかで"頭角"をあらわすための熾烈な競争だらけ。その競争が目的化しており、知的高揚感など皆無。当然、成果も限定的で、狭いコミュニティ内での自画自賛合戦で終始。流石にこれではこまるということで、外部から教授を招聘したりするが、着任する人の大半は肩書きが嬉しい人達ばかり。既存組織の担い手を生み出す教育が、時代の変化に合わせて強化されているにすぎない。変革の担い手を生まないような教育を行っているとも言える。
この状態では、イノベーションを生み出すための基本姿勢が身につくことは稀だし、様々な考え方を吟味することの重要性に気付くこともなかろう。そんなことはわかっていても、変えたくない人だらけなのが日本の現実。
おそらく、一番必要なのは、聞き手に"ガーンと一撃"を与える話をする人だ。その衝撃で、本当に話を聞きたい人が見つかったりするもの。そうなれば、どこだろうが、なんとかして話を聴きに行くことになる。そんな実感を一度も持ったことが無い人に、視野の広さを期待する方がどうかしているのでは。

まあ、いくら政治主導といっても、単純なスローガンを語るだけで生き延びている人や、権謀術数でのし上がる人だらけの政党に期待する方が無理というもの。
政経塾で鍛えた人なら、それを突破できるとの根拠は、もともとはなはだ脆弱だったということだろう。はっきりした目的意識を持ち、一貫した方針で政治的提言を行えるシンクタンクの力が決定的に弱い政治状況のなかでは、個人が政治的リーダーシップを発揮できかねるのも当たり前だし。
道は遠そうだが、結局は、まともな議論ができる場を地道につくる以外に変革の担い手を生み出すことはできないということだろう。

(source)
[KATSUHIKO EGUCHI OFFICIAL WEBSITE]
http://www.eguchikatsuhiko.com/information/30/
http://www.eguchikatsuhiko.com/information/29/
http://www.eguchikatsuhiko.com/information/28/
「野田氏、前原氏が首相なんて…師匠は不安」2011年8月26日 日刊スポーツ:中山知子
http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp3-20110826-825621.html
「前原は“腐りかけの饅頭”だ!野田にも劣る適性「30点」 」 2011年8月25日 夕刊フジ:安積明子
http://www.eguchikatsuhiko.com/information/30/
「野田財務相も“首相落第”! 適性わずか「44点」のお粗末」2011年8月19日 夕刊フジ:安積明子
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110819/plt1108191156003-n1.htm


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