■■■■■ 2011.11.10 ■■■■■

  スマホは更なる技術カルテル時代に突入か

スマホとタブレット市場が巨大化一途。
言うまでもないが、日本企業は世界市場で見ればほとんど蚊帳の外。ご存知の通り、国内市場で大騒ぎしているにすぎない。それでも競争相手としてSamsungやHTCを意識しているようだ。
失礼な言い方だが、これは競争になっていないのではないか。両社共に早晩負け犬化する可能性が高いからである。

競争の土俵に乗れるのは、「核心的」特許を保有しているかである。そして、そのメンバーは出揃った。OSという点で見れば、すでにSymbian OSやBlackBerry Tablet OSはメジャーになる可能性はなさそうだから、それは以下の3社。
1 iOS-Apple
2 Android-Google
3 Windows Phone 7-Microsoft
ただ、OSだけ眺めていても競争状況はよくわからない。モバイル機器は通信技術の世界でもあるからだ。おそらく、その辺りの特許を抱えていないと勝負にならない。当然ながら、スマホで後手となった2社はそこをおさえる必要がある。
2 Motorola-Google
3 Nokia-Microsoft
この3社が基本メンバー。メンバーになりさえすれば、たとえOSが微々たるシェアであっても、OS売り上げの代替として、高額なライセンス料を確保する手がある。それなら、OSを代えるかという話にもなりかねない訳である。
そうそう、目立たないがメンバー席はもう一つあった。
4 Ericsson-Sony

これらのメンバーは「核心的」特許を保有している。従って、いくら競争するといっても、結局のところはクロスライセンスするしかなかろう。今、その条件を巡って、訴訟が激しくなっているということ。メディア的には、この状況は熾烈な戦いと見なされるが、メンバー間での訴訟合戦は、相手のビジネスにすぐに実害が及ばない程度のものではなかろうか。条件闘争用のブラフ。

しかし、メンバー外に対する訴訟となれば別。部外者は徹底的に叩いてもかまわないのである。そうすることで、非メンバーを水飲み百姓化できるからだ。要するに、非メンバーから高額なライセンス料を徴収できる体制を敷こうというだけの話。
これを技術カルテルと見なせば、言いすぎとされるが、実態はそんなところでは。

従って、この市場での競争の先は見えたようなもの。例えば、無料OSを使った機器で巨大シェアを獲得しても、全社にライセンス料を払う必要が生まれたりする。その結果、資本コストを若干上回る程度の利益しか得られない可能性さえでてくる。
非メンバー企業は、規模の経済だけでは謳歌できなくなるということ。それこそ、魅力的な機能の「特許」を持つ低シェア企業にも高額なライセンス料を払わされたりしかねないからだ。

(ref.)
SAN FRANCISCO (Reuters): "Motorola wins preliminary ban vs Apple in Germany" Nov 7, 2011


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