■■■■■ 2011.12.17 ■■■■■

 珍しいニュース2報に接して

続けざまに似たような「珍しい」司法分野のニュースが流れると、どうしても目にとまる。
これが日本社会変化の兆しと見なせるのかは、正直のところよくわからない。司法の世界は全く知らぬが、少なくとも、一般大衆の姿勢が変わりつつあるとは思えないからだ。

余計な前書きだったか。

(その1) 高裁の判断
生まれつき耳が聞こえず、話すこともできない、すでに19回もの前科がある64才の窃盗犯に、保護観察付き執行猶予判決がでたそうだ。アパートの一室に窓から侵入し、現金3万円を盗んだ件。
懲役刑だった地裁判決が破棄されたのだが、その理由は知的障害の疑い。弁護人の簡易鑑定要請が認められ、精神年齢が6歳10カ月と判定されたからである。 知的障害がある累犯者らの更生支援で先進的な取り組みをしている社会福祉法人の支援のお陰らしい。こうした判決は全国で2件目とのこと。

(その2) 地裁の判断
大阪弁護士会からの要請に応え、大阪地裁が国選弁護人選任の際、容疑者は「知的障害」と通知したとのこと。全国初だそうである。

両者ともに珍しい話だそうだが、これらを切欠として、この先、検察や司法の姿勢が変わっていくのだろうか。残念ながら、記事には背景説明が全く無いので、判断がつかない。

言うまでもないが、キリスト教国なら、神に祝福された人達をなんとかして助けようと動くのは当たり前の話。
一方、日本の信条は「地場」社会の安定第一だから、そうはならない。先ずは、その観点から、知的障害者の人達をとう扱うべきかという発想になりがち。そのため、日本における「弱者支援」は欧米とは相当違った様相を呈しがち。

と言うか、日本では、支援を受けられる「弱者」は、もっぱら仲間ウチの人達に限られるのである。要するに、仲間とされていれば、なにかと面倒を見てもらえるが、仲間と見なされなくなった途端に、そんな扱いは期待できなくなってしまう。支援者は、ほんの一部の人だけという状態に陥りかねないのだ。

・・・実は、コノ部分、小生の意見ではない。
昔のことだが、大企業の人事勤労部門で長く勤めておられる方から伺った話。忘れずにいるのは、どうせ現実を知らない青二才だろうから教えてやると言われたから。
それを、突然にして、思い出してしまった。

(記事)
木村司:「20回目の窃盗罪被告に猶予判決「福祉向上で更生を」」 朝日新聞 2011年12月14日
「容疑者「知的障害」と通知 要請受け大阪地裁」 共同通信-47NEWS 2011/12/17


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