■■■■■ 2012.3.21 ■■■■■

 この程度の維新の風では日本は変わるまい

先日、大阪維新の会の電話による近畿全域世論調査が読売新聞から発表された。その2週間ほど前の毎日新聞調査の詳細版のような感じ。 国政進出期待者は、63%と61%を占め、同じような結果。
既存政党は支持者の過半を奪われる可能性大であることが、ついに実数で見えてきた訳である。維新の会支持率は四分の一程度。自民とみんな以外はコアの支持者以外は離れてしまったように見える。
 決めていない・答えない---36%
 大阪維新の会---24%
 自民---------18%
 民主---------10%
 公明--------- 5%
 みんな---------3%
 共産--------- 3%
 社民--------- 0%


民主か自民中心の政権を望むのが16%に対し、政界再編による新しい枠組みを望むのが63%であり、変化期待濃厚。

議員稼業の方々にとっては恐ろしい大変化だろうが、これではたいした変化は期待できない。実態はこういうことだからだ。
 大・中バラマキ派支持(民主+自民+公明)---33%
 バラマキ抑制派支持(維新+みんな)---27%
 その他---40%


換言すれば、本格的に規制を撤廃し、税金ブル下がりだけの産業を見捨て、本格的な経済成長を目指す政治を実現しようとの政策に対しては、「反対6割弱 v.s. 賛成4割強」という状況ということ。この状態での抜本的な変化はありえまい。
実際、道州制の導入賛成者は40%にすぎない。わかりにくいかも知れないが、そんな発想で動かれたら、既得権益を奪われると考える人が多いということ。インターナショナルな視点での政治を嫌う人が過半を占めていることを意味する数字と言ってよいだろう。

経済を立て直したいと考えるなら、ここが肝。
グローバルな視点で経済成長を実現しようと思ったら、先ずは、既得権益者間の齟齬に対応するだけの、訳のわからぬ調整政治を止めること。道州制はその鍵を握る。
これは、よく耳にする官僚政治打破にもつながる。現在の官僚政治は、既得権益グループの利害調整には欠かせない機能。この機能を潰したら、よせ集まり政党では調整ができなくなり大混乱を招くだけ。自己否定なき既存政党には政治主導は夢物語なのである。
実際、多少は政治主導で動けたのは、橋本政権と小泉政権のみ。政権交代で、野党支持の既得権益層の意向を無視できるから、少しは可能性があったのだが、ほとんどなにもせず。

要するに、「中央から地方へ」というのは、ほとんど意味の無いスローガン。単に、権限を地方に移したところで、バラマキ派首長が、地域内の既得権益層へのバラマキに励むだけ。どんな政策を打ち出そうが、地域内での最適化であり、産業の新陳代謝抑制へと進む可能性が高い。

中央から地方へ、という場合に一番重要なのは、「自立」ではなく「自律」ということ。バラバラ勝手に、その地域によかれと思ってバラマキをされてしまえば、マクロではマイナスになりかねないからである。
錚々たる応援団が様々なアドバイスを与えているらしいが、その観点で「維新八策」レジュメを見る限り、余りにもの足りない。
 (冒頭の提起)
 (1) スローガン---日本再生のためのグレートリセット
 (2) 国家像---自立する個人、自立する地域、自立する国家
     そのために必要なこと---
        「決定でき、責任を負う民主主義」
        「決定でき、責任を負う統治機構」
        「現役世代の活性化」


どんな国にしようとしているのか、これではさっぱりイメージが湧くまい。少なくとも、日本が世界のなかでどのようなポジションをとり、どのような世界を実現したいのか、示唆するようなものが欲しい。別に、きちっと書いてくれる必要はないが、外交・防衛を読んでも、現状認識もわからないし、打ち手にしてもなにがなにやら。これから議論ということか。
通商にしても、WTOが機能しないから、米国世界に自由貿易基盤を作り上げる第一歩として、TPPに邁進するという精神があるとも思えない。

もっとも、高橋洋一教授によれば、「公約とか政策集ではなく、一致団結してやっていくための価値観集」を作ろうとしているだけで、とりあえず、そこを評価すべきということらしい。
まあ、山田大阪市特別顧問が指摘するように、「橋下氏は『現在の仕組みを変えないと、政策を実現できない。日本を前に進められない』と純粋に感じている。その使命感は極めて強く、これまでの政治家とは、実行力や決断力などのレベルが違う」というだけのことか。
橋下市長に賭けるかどうかが問われることになりそう。堺屋太一氏によれば、織田信長的なのだとか。訳のわからぬ歴史的比喩だが、維新のようにはならないということかナ。
確かに、世論調査を見る限り、維新のような動きにはほど遠いと言わざるを得ない。

(ソース)
「次期衆院選比例近畿 「維新に投票」トップ24%…本社世論調査」 2012年3月19日 読売新聞
「「維新」比例近畿トップ24%…民・自ショック 」 2012年3月19日 読売新聞
大阪維新の会「維新政治塾・レジュメ」 2012年3月10日(VER1.01)
高橋洋一:「“維新八策”は価値観の共有!民主の轍ふまず」 zakzak 2012.03.16
「“橋下改革”の真相…ブレーンが明かす“船中八策”全内幕」 zakzak 2012.02.22 「堺屋太一氏インタビュー 「橋下市長は平清盛や織田信長の性格を備えている」 産経新聞 2012.2.26
(関連の当サイト記載) 「首相・自民党総裁密談話の背景…(20120307)」


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