■■■■■ 2012.3.26 ■■■■■

 北朝鮮孤立化報道を眺めてみた

26日のソウルでの首脳会談報道を、ざっと、眺めてみた。メディアの特徴を知りたかったから。

●早朝に、ウォール・ストリート・ジャーナルの解説的な記事登場。---25日に韓国入りしたオバマ大統領は、かつて閉鎖的だったが、最近は開けた国にすることで大きな経済的利益を獲得している国の例として中国を挙げた。中国は北朝鮮のロケット打ち上げへの「懸念」を表明しているが、同時に関係国に冷静さを求めてもいる。
「米大統領、北朝鮮問題で中国の厳しい姿勢求める」【ソウル Carol E. Lee】 ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 2012年 3月 26日 7:49 JST

●続いて昼すぎに、日経。青瓦台での胡・李首脳会談での、胡主席の発言を伝聞情報として報じた。情報ソースは不記載。---「衛星発射は正しくない。民生発展に集中した方が良く、ミサイルは放棄した方が良い。」「今もやめさせるため努力している。」さらに、胡主席は、李大統領が平和安定や6カ国協議再開に否定的な影響を与えるとの指摘に共感を表明し、朝鮮半島情勢に関して積極的に努力する旨、伝えたという。
「中国主席、北朝鮮「衛星」の発射中止働きかけ 韓国大統領との会談で」【ソウル=山口真典】 日経2012/3/26 13:17

胡主席が、このような姿勢を表明したとしたら、それは初めてのこと。この発言が本当なら、常識的には、日本が先島諸島でのミサイル迎撃姿勢を示した結果では。もちろん、そのような解説は無いが。

●そのソースがわかったのは、ブルームバーグのニュース。---金泰孝対外戦略企画官が記者団に、胡主席が「憂慮」表明し、中国は打ち上げ回避に向けて北朝鮮との交渉を続けていると説明。
「中国は北朝鮮のロケット打ち上げ計画を「憂慮」−韓国大統領府高官」 ブルームバーグ) 2012/03/26 15:12 JST

●NHKはソース不明記事を夕方になって流した。---胡主席は「北朝鮮が打ち上げを中止するように努力している」と述べたということです。
「中国主席“打ち上げ中止に努力”」NHK 3月26日 17時49分

●ロイターは、サミットに出席の複数の当局者がソースの記事によると、胡主席は、「現在、状況は非常に複雑で微妙だ。ようやく生まれた半島情勢緩和の流れを反転させたくない」と述べたと報道。午後になって、この件で、新華社が反応したことを北京発で流したのである。---胡主席が「朝鮮半島の緊張緩和の流れが反転しないことを望むと述べた。またすべての関係国に対し、緊張がこれ以上高まるのを避けるため、冷静さを保ち、自制するよう求めた。」
「朝鮮半島、緊張緩和の流れ反転しないよう望む=中国国家主席」[北京 26日 ロイター] 2012年 03月 26日 14:35 JST

夜、米中首脳会談内容の報道が出だす。
●ブルームバーグは、オバマ米大統領は米中首脳会談で、北朝鮮による挑発に見返りを与えることはないと明言したと報道。ソースは統領副補佐官の記者会見。
「米大統領、北朝鮮の挑発に見返り与えず−中国主席に明言と副補佐官」Julianna Goldman in Washington ブルームバーグ 2012/03/26 19:21 JST

●ロイターは、オバマ・胡錦濤会談で、胡主席が非常に深刻に捉えており、北朝鮮政府に懸念を伝えるとの意向を示唆したと報道。ソースは米政府高官。
「胡錦濤国家主席、北朝鮮の核問題への懸念を米大統領に示唆」[ソウル 26日 ロイター] 2012年 03月 26日 19:46 JST

●日経の記事では、胡主席が「深刻に受け止めているとの懸念を表明した」との大統領副補佐官の言葉を引用しているが、「中国は北朝鮮の体制の不安定化を避けるため強い圧力をかけることに慎重な姿勢とされている。ただ国際社会が北朝鮮への反発を強めるなか、発射阻止で足並みをそろえたい米韓に配慮を示した。」としている。記者の解説なのか、記者会見内容がそんなトーンだったのだろうか。よくわからず。
「中国主席が懸念表明、米ロは自制要求で一致 北朝鮮の「衛星」【ソウル=尾島島雄】 日経  2012/3/26 20:47

●尚、毎日は「北朝鮮が予告している「衛星」打ち上げを阻止するため、緊密に協調することで一致した。」ということだから、トーンはかなり違う。
「北朝鮮:発射予告 中露首脳も自制要求 包囲網が完成」【ソウル澤田克己】毎日 2012年3月26日 20時27分

10年間、さっぱり動かなかった中国だが、いよいよ動かざるを得なくなったということのようだ。東アジアの安全保障体制に責任を持てと、米国からつきつけられたからだ。換言すれば、この先、朝鮮半島安定は中国にまかせ、米国はこの地域から徐々に引いていくというベースラインでの意志一致が、次期主席との会談でできあがっているということ。 もちろん、そんな調子の報道がされている訳ではない。


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