■■■■■ 2012.3.27 ■■■■■

 風が吹けば桶屋が儲かる式思考法の重要性

風が吹けば桶屋が儲かる式の因果則を考えない人はいないのだが、現実はそれを無視する人ばかり。

あるブログにそんな話の好例が掲載されていたので、以下に、その論理の流れを勝手に整理してみた。(見ると、28,000人を超えるブックマークを誇っているブログ。小生は、日本のブログは余り見ないこともあり、ココは初めてかも。)
・結婚優遇「制度」開始
  ↓ 「既婚者だけずるい」とのやっかみ発生
  ↓ 「税金を使うから」、「公明正大に使われるべき」との声
  ↓ 「優遇狙いの偽装結婚を防ぐ必要あり」との結論
  ↓ 「結婚手続きをしっかりしましょう」で落着
  ↓ 公に尽くす意識の高い官僚が、厳格判定方法を導入
  ↓ 結婚手続きが煩雑に
・面倒なので、結婚に踏み切らない人が増加

要するに、本質的な解決に程遠い結婚優遇「制度」反対というのである。結婚を増やすためには、制度を簡素化すべきで、複雑化するのは逆効果との主張。

多分、この説、当たっている。
この方、書いてはいないが、社会の構造を見抜いていそう。
表立って言う人は滅多にいないが、結婚が増えないし、出産も増えない、最大の理由は風土。伝統から外れた、大方の人にとって「気に食わぬ結婚」や、「婚外子」づくりをさせたくないだけ人だらけということ。この状況で、わざわざ、それに抗して結婚や出産をする人は滅多にいない。(簡単に結婚し、簡単に子供を生み、簡単に離婚する風土になれば、結婚は増えるし、子供も増えるということ。移民を増やすのも、実に、簡単な方法である。)
結婚手続きの簡素化は、風土を壊しかねない。従って、皆、そんなことには知らん顔を決め込む筈。
これが日本の現実。

このブロガー氏、結婚ホヤホヤだそうな。
ブログ婚、オフ会婚、Twitter婚、10歳年下婚、2年の同棲婚だとか。そして、うるう日婚で、妻の名字にしたとのこと。(少数派のなかの、そのまた少数派の道を選んだ方のようだ。)
どうぞお幸せに。

さて、話を元にもどして。
小生は、結婚手続きの簡素化は「常識的に見て」難しいと判断したが、そう考えない人も少なくない。必ずしも常識ではないのである。そこで、正面突破可能と考えたりする。
これは不毛な結果に終わるから注意した方がよい。「リセット」はそう簡単にはできないのである。・・・ここが今回言いたかった点。

かつて、鳩山首相が基地移転を言い出したが、それも同じ類。日本が自立し、米国と対等に交渉したいという精神はわからないでもないが、それは止めておくのが無難。たとえ、一つ要求が通ったところで、重い要求をつきつけられるのがオチ。一番難しいところに、体当たりしても、何も動かないだけでなく、逆に動いたりしかねず、大損。
覚悟を決めて動くなら、変革母体の体制を整え、状況が変わりそうな兆候が見えた頃合を見計らう必要があるのだ。一般には、それを準備するために、色々手を打つのが、政策上手。まあ、仕掛け作りである。それがプロというもの。

最近動き始めた、歳入庁設置運動もおなじことが言えそうだ。小生は「常識的に見て」難しいと考える。そこは権力の源泉だからだ。

新しい政策を打ち出せば、その影響は様々な分野に及ぶ。視野が狭いと、その結果は予期したものとは全く異なるものになる。どんな副作用が発生し、それを切欠として、どんな動きが生まれるのか予測する力がないとえらいこと。
日本では、この辺りの学習経験が皆無の人が多すぎるのである。と言うか、これを学んでも無駄なのである。調整型政治では、全体像は無用そのもの。個別の狭い視野のシナリオをつぎはぎする作業をする以外には手が無いからである。

それを断ち切るには、どこから手をつけるべきか、全体像をじっくり見て構造を練らないと。ところが、そんなことを熟考するシンクタンクは無さそうだし、単純な意見を繰り返し述べるオピニオンリーダーだらけ。これでは、どうにもならない。
鳩山構想の頓挫を、個人的な資質問題と見るのでなく、こうした欠陥から考える必要があろう。まあ、構想自体も曖昧でよくわからず、現実性も薄そうな代物だから、教訓化と言っても無理かも知れぬが。

(ここで取り上げたブログ・・・「(旧姓)タケルンバ卿日記」)
2012-03-22 「結婚を優遇すると、結婚が減るでござる」
2012-02-29 「[結婚]うるう肉の日結婚をしました」


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