■■■■■ 2012.4.22 ■■■■■

 高齢労働者社会へ進む訳か

「賃下げ」ニュースを読んでいて、手塚治虫が語った日本の将来像を思い出してしまった。定年退職後にのんびり暮らす社会実現とは正反対の見通し。80歳になるまで皆忙しく働き続け、介護ロボットが動く世界。
ロボットの進歩は今一歩のようだが、高齢労働者増出体制は進展の気配。言うまでもないが、60歳以降も働き続けたい人の再雇用義務付けの話。

高齢層だと、社会安定のためには、これも致し方あるまいと考えるだろうが、若者も納得しているのだろうか。企業の負担で高齢労働者を増やすということは、若者は失業者だらけになるということを意味しそうだが。・・・もし、そうなったら、アルバイト仕事で耐乏生活でかまわぬとの、甘い予測をしていなければよいが。

今でも、60歳未満では、どの年代だろうが、年に300万円稼げない人の過半は金融資産10万円以下。(40歳代の「収入はない」層だけは当てはまらないが。)この数字だけで生活実態を推定するのは無理があるとはいえ、余裕無き生活を一生続けざるを得ない状況に陥っている可能性は否定できまい。高齢労働者増出体制構築とは、多くの若者がそんな状態になっていくということ。

その第一歩がついに始まった。いよいよ、30代半ばからの賃下げ賃金制度が導入されるとのこと。
すでに、50歳からの賃金上昇の抑制は進みつつあるが、働き盛りの世代にまで広がってきた訳である。しかし、その程度の対応で退職予定者の雇用延長ができるのは経営的に相当余裕がある企業だけでは。国内新卒者採用減と、国内業務の海外移転を進めない限り、増え続ける雇用維持コストに耐え切れまい。

その結果、若年層の就職口は急激に狭くなる。フリーターで食べていけた頃は、大いに恵まれていた時代だった気付くのも、そう先のことでもあるまい。
そのうち、コンビニ店員や荷物配達者も、高齢者だらけになるのである。

(ニュース) NTT、30代半ば以降の賃下げ計画 再雇用費に充当 2012年4月22日 朝日新聞
(金融資産データ) 金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査 平成21年


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