■■■■■ 2012.4.30 ■■■■■

 労働力を増やす動きが生まれるだろうか

民主党政権発足以来、早くも、31ヶ月経過したそうだが、この4月23日、野田内閣では4人目の少子化相の任命とか。しかも、厚労相が兼務とくる。適材適所の方針を貫いてきた結果らしいから、まさに爆笑モノ。(民主党政権での交代状況:福島→平野→玄葉→岡崎→与謝野→蓮→岡田→中川→小宮山)
まあ、少子化対策は、効果があがる訳もなく、形だけ整えておけば十分ということか。厚労省主管の保育所を再編し、「子ども・子育て新システム」を始めたいらしいが、わざわざ担当官庁の大臣を外すのだから、天晴れな采配ぶりというべきか。

小生は、子供は増えないとの前提に立って、その労力を他の分野に回した方が実践的だと思うが。
そうそう、今から移民受け入れの本格化を議論しても遅すぎる。
従って、今働いている人達で、これからいかにして労働力を確保するか考えるべきでは。

とりあえず、現在の状況を、ざっと見ておこうか。・・・

平成24年(2012)3月の労働人口は6,521万人。平成13年の6.752万人から、231万人減ったことになる。15−64歳の労働人口比率は72.6%から73.4%と増えたが、総数では62.0%から58.7%と減少。この流れが今後加速される訳である。
労働人口推移(平成13年→平成24年3月[人口比率])
              15-24歳男 251万人(39.6%)
15-24歳男 375万人→25-34歳男 722万人(94.0%)
25-34歳男 932万人→35-44歳男 923万人(96.2%)
35-44歳男 775万人→45-54歳男 755万人(95.9%)
45-54歳男 943万人→55-64歳男 759万人(82.8%)
55-64歳男 656万人↓
65---歳男 311万人→65---歳男 374万人(28.9%)
              15-24歳女 241万人(39.9%)
15-24歳女 356万→25-34歳女 539万人(72.4%)
25-34歳女 612万人→35-44歳女 648万人(68.2%)
35-44歳女 518万人→45-54歳女 574万人(73.4%)
45-54歳女 686万人→55-64歳女 513万人(54.4%)
55-64歳女 407万人↓
65---歳女 181万人→65---歳女 221万人(12.7%)
(データ出典) 総務省「労働力調査」 平成24年3月分結果

上記の数字を見れば、課題は自明では。
  (1) 高齢化に伴う非労働力化を遅らせる。
  (2) 中年女性の労働力化を進める。

施策を打つなら、先ずは高齢者からか。
65歳で6割、70歳で4割の人に働いてもらうようにせよとの主張が一番現実的。肉体的には、この程度なら、なんの問題もなかろう。被雇用者だと、退職後の引退が当たり前かも知れぬが、自営業者ならこの年でも働くのが普通。従って、退職後の再就職を応援すればなんとかなりそう。
と言うものの、これは簡単な話ではない。民主党周辺に巣食う反企業勢力がここぞとばかり、企業に強制雇用させかねないからだ。こうなると逆効果で、企業の総雇用数は減少するだけ。
やるべきことは、労働者の流動化。漫然たる終身雇用を止めて、中途採用を促進すべきだ。そのためには、コア人材の峻別化スキルを急いで磨く必要があるし、企業文化の固定化が不可欠となってくる。えらく面倒だが、これを避ければ、国全体が沈没するので、企業も力を失うことになる。それでも結構というなら、かまわないが。

もう一つの、女性に働いてもらう方針だが、そののための環境整備は、実は、そう難しいものではない。他の施策と比べれば、費用もたいしてかからない。
しかし、実行は困難そう。
自称リベラルから、真性保守まで、表立って言わないものの、本心ではそんな動きを潰したい人達だらけなのだ。その風土を利用して、上手に立ち回る女性も少なくないのが現実。日本とはそういう国である。

(レポート) 団塊世代の退職による労働市場への影響 〜「2012 年問題」から考える超高齢社会における働き方 斎藤太郎 NLI Research Institute REPORT May 2012


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