■■■■■ 2012.5.2 ■■■■■

 婚活の日の雑感

このところ、「二股結婚話」が延々とニュースの見出しにのってくる。
政治分野では、速報もしなければ、コメント全文掲載もしないくせに、これに関しては、「〈速報〉謝罪コメント全文」を報じるのだから恐れ入る。スポーツ新聞ではなく、大新聞が。

小生にとっては、初めて耳にする登場人物ばかりなので、さっぱり興味が湧かないが、見出しのお名前に馴染みがでてしまった。そのため、どんな方々か、写真を拝見してみたくなったりしないでもない。
タレント業の宣伝方法としては、秀逸そのもの。
もっとも、常識的には逆と見るべきだが。よくあるのは、業界を取り仕切る組織からの独立話がでている時。まず間違いなく、この手のスキャンダルに見舞われるもの。政治に限らず、これが日本の掟。

その辺りの事情に敏感そうで、いかにも上手に業界を泳ぎ回ってきたように映る芸能人達も、この話に飛びついているようだ。恋愛という個人関係に、どう絡んでいるのかは知らぬが、すかさず、記事見出しへの名前の登場を果たしているのだから、流石プロ。

それにしても、これきしのことに、大騒ぎがよく持続できるものだ。連休で暇だから、丁度手頃なネタとされたのだろうが、異常な盛り上がりよう。

もともと、芸能ニュースの主戦場は、不倫と不和・離婚のスクープ合戦。浮名を流すプレイボーイなど、この業界のまさにドル箱であり、有難き存在と言えよう。
そう考えれば、「二股結婚話」もこの手のカテゴリーに属す、つまらぬゴシップ記事と考え勝ちだが、どうも違うらしい。
婚約不履行話ではないのだから、大人の恋愛遊びでしかないと思うが、これが、度を越えた不道徳行為と見なされている模様。実に、幼稚な人達である。もっとも、それこそが可愛さで、タレントとしての魅力の根源かも知れぬ。
まあ、芸能界の素人集団化と言うべきか。あるいは、業界全体で家業化が進んでおり、結婚の扱いは微妙な問題を孕むので問題にされるのかも。

・・・と言ってもなんのことやら、ご理解頂けないか。
プロなら、他の人には真似ができそうにない個人芸で一世風靡を狙うもの。恋愛についても自分の思う通りに勝手に動いて当然。世間の考え方と隔たりがあろうが気にしないのが普通。ゴシップ話など芸の肥やしにすぎまい。−−−日本では、そう考えてはいけないのである。

なんといっても厄介なのは、伝統芸能でもないのに、日本のタレントは「家」を背負っていたりする点。結婚話になると何故か家族が係わってくるのである。要するに、個人として自立することが許されないのである。従って、結婚問題は常に複雑な様相を示す。
そんな芸能土壌だから、マドンナのような、反文化的パンクは生まれない。せいぜいが新風俗としての物真似パンク止まり。言ってみれば、素人によるパンクまがいに人気が出る社会なのである。それが家業と化したりするから摩訶不思議。よく言われるように、西洋とは精神風土が全く違う訳だ。

そういう点を考えると、結婚のプロポースの仕方も、西洋とは相当に違いそう。おそらく、米国人なら、結婚しようとはなかなか言い出さないだろう。個人間の正式契約には二の足を踏む筈である。日本人と違い、それぞれが個人として自立しているから、契約破棄時のゴタゴタを考えると、そう簡単に踏み切れるものではなかろう。愛しているなら、同棲と言うか、事実婚でかまわないではないかとなる訳だ。従って、「二股結婚話」を聞かされたりすれば、大爆笑かも。
これが、真性イスラム文化圏になると、複数妻帯是認。「二股結婚話」程度で不道徳と烙印を押したがる人達には、こうした風習は許しがたいかも。しかし、あちらから見れば不倫に寛容な日本の風習こそ許しがたいとなろう。たいして変わらないのである。と言うか、婚外子を嫌う体質を考えれば、日本はイスラム文化に近いと見てよさそうである。
家やコミュニティが結婚を設定する仕組みが好まれる点など、まさにウリ。なにせ、日本には「婚活の日」(5月2日)がある位なのだ。

ただ、そんな日本的風習には馴染めない人も増えていそう。
生涯未婚率(2010年時点)はついに男性は2割に達したそうだし。おそらく、結婚どころか、異性との交際を避ける人が相当な数にのぼっている結果だ。
自立して生きていこうと考える人なら、異性を好きになれば、それこそ一文無しだろが結婚するもの。しかし、もし、周囲には自立を嫌う人ばかりだったら、結婚から遠のくのは自然な流れでは。

これ以上未婚率が上がったらどうなるかと騒ぐ人もいるようだが、自立型の人はあくまで少数勢力。今後大きく増えることはないから、それは心配ご無用。
日本国民の大半は、芸能人の「二股結婚話」で大騒ぎしたい人達と見て間違いない。

(新聞記事見出し) 〈速報〉塩谷瞬「二股は事実」/謝罪コメント全文 朝日新聞 - 2012年4月30日
(プレスリリース) 5月2日(水)は“婚活の日”!結婚相談所サンマリエが『婚活の日』記念 お見合いパーティーを開催 2012年04月09日 ハピライズ株式会社
(2012年版「子ども・子育て白書」発刊前情報の記事) 生涯未婚の男性、2割を突破…30年で8倍 2012年5月1日 読売新聞


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