■■■■■ 2012.5.28 ■■■■■

 福島原発4号機対策は悠長すぎるのでは

福島第一原発4号機の内部映像が流れた。細野原発事故担当大臣による視察の同行取材である。

3号機から配管を通じて逆流した水素による爆発で建屋上部が壊れたとされている箇所が公開された訳だ。
極めて重要なイベント。プール水面から多量の放射線が漏れ出ていないなら、使用済み燃料棒破損はなさそうと考えることができるからだ。

しかし、くだんのNHK報道。それを前提に眺めておく必要があろう。
実際、配管やバルブなどが密集している建屋低層域で高い放射線量が計測されたという。隣の建屋から狭い流露を通って水素と一緒に流れてきた塵が、建屋内の奥まった場所に溜まったということか。あるいは、爆発後に空気の流れに乗ったり、人や資材に付着した塵が入ってきたということか。どの程度の量の放射性物質が存在するのかわからぬが、気になる話。

まあ、そんな議論などどうでもよいこと。早く、燃料集合体を取り出して欲しいもの。
「建屋の水平性やプールの底部の補強状況について確認できた」から、この調子で着実に作業してもらえば結構ということらしいが、予定より前倒しで進めるように指示できないものか。

プールの底に鋼鉄製の支柱を設置して、周りをコンクリートで固めたから、なにがあっても大丈夫と言いたいようだが、素人感覚とは相当な乖離がある。
なにせ、このプールは高所にある上、水という重量物が入っているのである。建屋といえば、上部の枠組み鉄骨は歪んでむき出し、錆びついている状態。建屋全体が構造的に弱体化してしまったのは明らか。しかも、残った鉄骨やコンクリート強度が実際どの程度か、測定できないのだ。
そんな状態で、構造設計専門家でもない素人が、プールの底の補強工事完了を眺めて、一安心する姿勢は頂けない。もしも、大地震が発生すればどうなるかわかったものではないからだ。
プールの貯水機能が失われたりすれば暴露状態で臨界に達したりしかねない。これはえらいこと。
とてつもない量を保管しているから、首都放棄しかなくなる。

取り出し作業による放射能汚染に対する批判を恐れ、その対策に時間をかけるような方針は止めて頂きたいものである。報道公開できるレベルなのだから、未使用燃料を即刻取り出し、臨界阻止用ダミーと交換する作業に進むべきだろう。

誰が考えたところで、大きな危険を早く取り除く必要があるのは歴然としている。ただ、えらく厄介な作業だから、その過程で問題が発生するのも間違いなさそう。しかし、それを厭わず、断固として踏み出す決断をすることこそ、政治の役割では。

(NHKの記事)
第一原発4号機 内部を初めて公開 5月26日 17時19分
4号機 燃料プールの健全性は5月26日 18時47分
4号機 取材記者が見たものは 5月26日 23時42分


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