■■■■■ 2012.7.30 ■■■■■

  あっぅーい。

「気象庁によりますと、30日も全国的に高気圧に覆われて強い日ざしが照りつけ、気温が上がっています。」
東京の都心で33度3分。東京・練馬区はなんと35度8分。
コリャ堪らぬ。

正に、「あっぅーい。」「暑い」の語感を文字にするとこんなところでは。
ところが、若い人の発音は違うみたいだ。「あつぅ。」と言うらしい。短い上に、アクセントは先頭ではなく次の音節にくる。

小生の感覚では、それは「熱い」ではないかと思うのだが。まあ、どちらでも、感情表現の内容が適切に相手に伝わっているならどうということはないのだが。まさか、英語では、どちらもhotだから「熱い」と「暑い」は同じという訳ではないとは思うが。

日本語は書き言葉では全く同じ綴りで異なる語義の単語があるから、間違いを避けるために、会話では語感表現が重要な筈。少しは、心して発音して欲しいもの。美しさまでいかなくても、乱雑な言い方だけは避けた方がよいと思うが。

日本語の面白いのは、同音異義語にはたいていはっきりわかる対比語があるという点。
  ・暑い v.s. 寒い
  ・熱い v.s. 冷たい
  ・厚い v.s. 薄い
もちろん明確な対比語を欠く「篤い」(warm-hearted)もある訳だが、比喩的表現臭が強く、基本概念を示す語彙ではなさそう。
幼児に言葉を教え込む親の言い回しを見ていると、このような対句で概念を理解させようとしているように思える。
ある意味、幼児の頭に叩き込む訳だから、以下のような対比は上手い方法である。
  ・昼 v.s. 夜、明 v.s. 暗、甘 v.s. 辛、美味 v.s. 苦
  ・早 v.s. 晩、速 v.s. ゆっくり(遅)
  ・上 v.s. 下、左 v.s. 右、前 v.s. 後、表 v.s. 裏
  ・高 v.s. 低、広 v.s. 狭、遠 v.s. 近、内 v.s. 外、大 v.s. 小
  ・男 v.s. 女、おとうさん v.s. おかあさん
  ・嘘 v.s. 本当(真)、静(粛) v.s. 五月蝿い(騒)、駄目(否) v.s. 良い(諾)
大人なら「善 v.s. 悪」と「安価 v.s. 高価」概念は必須だが、その辺りはどうなのだろうか。

しかし、西洋の概念とは違いそうな教え方も少なくなさそう。もっとも、必ずしも、対比的に覚えさせているとの認識があるとは限らないが。例えば、こういう風。・・・・
  ・赤 v.s. 白、丸 v.s. 四角
  ・茶碗 v.s. 皿、ご飯 v.s. おかず、お茶 v.s. ジュース、電車 v.s. バス
  ・手 v.s. 足、魚 v.s. 肉、犬 v.s. 猫、牛 v.s. 馬、鳩 v.s. 雀
  ・月 v.s. 星、海 v.s. 山、雨 v.s. 風、土 v.s. 石
  ・天井 v.s. 床、台所 v.s. お風呂
  ・絵本 v.s. 本、おやつ v.s. ごちそう

独特な発想といえそうなものも含まれているが、それが我々が受け継いできたものの見方というだけの話。多少は気にかけておいた方がよいと思う。
ただ、このように書いていると多少心配になってくる。上記はあくまでも、文字言葉だからだ。幼児は視覚ではなく、聴覚でこれらを脳味噌に貯蔵していくから、受け取る感覚は相当違う筈。
親の発音は極めて重要ということになろう。「ウルセ」でなく、「ウルサイ」でなければ。「あつぅ」も止した方がよかろう。
この辺りがいい加減だと、日本語は変質してしまうのでは。現代の核家族は、早期文字教育にはことのほか熱心だが、発声と聴取教育の手抜きが進んではいまいか。

(記事) 猛烈な暑さ続く 九州〜東北の各地で 7月30日 15時29分 NHK


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