■■■■■ 2012.9.17 ■■■■■

  コグニティブ・コンピューティング・システムの時代か

IBMのトップがビジョン広宣活動を本格化させたようである。
曰く、「システムが学習する時代」がついに到来。この新技術によって、ビジネスチャンスが広がるといった調子。
  第1世代 Tabulating Systems Era
  第2世代 Programmable Systems Era
  第3世代 Cognitive Systems Era
確かに、大きな流れを引き起こすことになりそう。
流石、マーケティング志向の企業の営業力抜群CEOらしく、機を見るに敏と言えなくもない。しかし、よくよく考えて見れば、研究開発部門作成の将来予測「Global Technology Outlook」に則って組織的に動いているだけのこと。

DARPAのSyNAPSEプロジェクトの成果が出るにはもう少し時間がかかるとふんでいたが、商業ベースへの適用も着々と進めてきたようだ。
この名称でおわかりになると思うが、一言で表現すれば脳的コンピューティング。
今のCPUはヒトの脳に比べると消費エネルギーは矢鱈大きいくせに、その機能は今一歩。脳のシナプスの仕組みとは違い、いわば堅物だからだ。従って、構造的に柔軟なCPUネットワークを作れば、脳並みの仕事ができるようになるとは誰でもが考えること。しかし、理屈はその通りでも、現実には簡単な話ではなかった。

それが、スーパーコンピューターの長足の進歩のお陰で、ワトソン君が登場。流石に、ここまで進歩を見せつけられると、新時代突入を感じない人は滅多にいまい。
経営者的直観からしても、リーダーの意思決定のあり方が変わるのは間違いないというところ。・・・ここがポイントであろう。

ありていに言えば、今までの方法は、命題とその解き方のガイドラインをヒトが作り、コンピュータはヒトの指導に従って解決するといったところ。これからは、コンピュータは仮説をも示すことになる訳だ。
全く異なる次元の情報をかき集めてきて、その中からなんらかの関連性を見つけ出し、そこに存在するルールを想定するといった作業をコンピューターに任せることができる訳だ。こうなれば、予測の時間軸は桁違いに伸びるし、その精度も格段に上がるのは間違いない。さらに、今まで気がつかなかった突発事象の可能性も指摘できるようになるだろう。理想論ではあるが。

実に、嬉しい話だが、現実には厄介千万。技術的過渡期においては、どの程度のレベルの仕組み作りをするのが妥当かは、誰にも、よくわからないからだ。こちらの推測はヒトの英知によるしかない。

(記事)
 米IBMのCEO「コンピューター、自ら学習する段階に」 2012/9/11 20:54 日経
 世界のトップリーダーが見つめる近未来 IBMの新旧CEOが講演 2012年09月12日 16時50分[伏見学,ITmedia]
(IBMプレスリリース[邦訳])  脳の能力を基に未来のコンピューターを探索 2008年11月21日
(IBM SyNAPSE PJのサイト)  New ways of thinking; Beyond machines


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