■■■■■ 2012.10.3 ■■■■■

  尖閣で火花散る、はありえる

上記のタイトルは、意図的な煽りに映るかも。
多くの方は、コレを否定はできないものの、すぐに勃発ということはなかろうと見ているのでは。衝突を避けるために外交努力がなされているし、状況が次第に悪化することはありえても、よもや戦闘はあり得まいと考えるのはまあ常識的ではある。

しかし、気になる点がある。

六本木7丁目の在日米軍ヘリポートでの離着陸が目立って増えたらしいから。
ココ、2Kmほど離れている大使館へ外交用現物文書とヒトを届けるだけの定期便と、要人来日時の頻繁な臨時便用と言われている。普段は、飛び方に気を遣っているようで、ご近所以外は気にとめる人は少ないが、ヘリコプター飛んでたネ、と語る人が矢鱈出てきたのである。

防衛省の大幅人事変更は無いし、オスプレイ配備問題を抱えているとはいえ、日本政府が尖閣問題以外で重要人物と密な協議をする必要もなさそう。にもかかわらず、臨時便が増えているとしたら、・・・。
尖閣での緊張がある段階を越え、緊急協議が始まったと考えるのが自然では。

そう考える背景をおさらいしておこうか。

○台湾武力解放がレゾンデートルの人民解放軍は、そろそろ潮時到来と考えていそう。
そうなると、先ずは山羊しかいない尖閣で武力制圧を試したくなる。
共産党中央はその動きを抑えたいが、国軍ではないし、自らの実力を冷静に判断する組織でもないから、統制は相当困難。
現時点は、解放軍の小規模ゲリラ型動きを中央が容認している状態なのでは。これを続けていれば、解放軍で強硬派が主導権を握ることになる。勝手に全面展開となりかねない。そうなると、中央は止めようがなく、その流れに乗るしかなかろう。
今や、その分水嶺にさしかかっていそう。

○米国にとっては、長期的には尖閣などどうでもよい筈。
米国の財政状況や経済構造を考えると、日本より中国との関係を重視せざるを得ないからだ。経済的に価値の薄そうな尖閣に労力を費やす意味はほとんどなかろう。自国の領土ではないのだから。ただ、外交カードとしては、価値は少なからず。日本政府が米軍の軍事費負担をしないとか、武器購入減額でもしようものなら、領土割譲圧力をかけることができるし、それとバーターで中国との対立案件で譲歩を迫ることができれば、願ったりかなったり。まあ、そうは都合よく事は運ばないのだが、頭でっかちだと考えそうなこと。
問題は、解放軍の中堅は、米国が尖閣に興味を持っておらず、日本をそそのかして中国を挑発していると見ていそうな点。それなら、乗るかということになりかねない。

○ただ、現時点で、米国にとっては、尖閣は軍事的に重要。
台湾への軍事侵略は絶対に許さないという、台湾条項が自動消滅している訳ではないからだ。尖閣地域なくしては台湾補給路防衛に支障がでるのは、地図を見れば素人でもわかる話。これを米軍が容認する訳がないのである。海兵隊出身の議員が、議会で、尖閣は日本の領土だと指摘するのも当たり前で、沖縄返還前はそこで米軍が演習を繰り返していたに違いないのである。
しかし、オバマ政権の議会における姿勢は曖昧なものだった。つまり、いずれ台湾が平和的に大陸に呑み込まれることがほぼ確実になったら、尖閣はどうでもよくなるから、その前段として、姿勢をはっきりさせない方針なのである。

このように考えると、解放軍の動きがあわただしくなったことがわかった瞬間、米国海軍は緊急配備体制をとるしかない。9月末には、それを公言。・・・"the USS George Washington carrier strike group has begun operating in the East China Sea, near the disputed islands."

一方、中国海軍は空母「遼寧」を就航させ、それを核とした大演習を東シナ海で行った。ご丁寧にも、島嶼解放演習というトーンで発表。

ここまでくれば、尖閣付近では、すでに、潜水艦による警告的な示威行動が開始されているに違いない。しかし、派遣されている解放軍兵士が中華思想に漬かっているとしたら、なんの影響力もない。実に厄介。
賽を投げるかどうかは、解放軍次第であり、共産党中央でもなければ、中国政府でもない。
尚、解放軍の統制がとれないとしたら、それは、次期最高指導者の失脚を意味している。大会は予想より一月遅れだが、開催日が発表されたので、それはなさそうだが、かつて文革少年だった解放軍中堅が革命を狙う気になったりすれば話は突如一変する。独裁国とはそういうもの。

(U.S. TIME.COM 2nd popular as of Oct. 2の記事)
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(当サイト過去記載)  見える化進む中国政治 (2012.9.21)


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