■■■■■ 2012.10.7 ■■■■■

  ボケ予防仮説

直観だが、60歳を越えてボケ始める方には特徴があるのでは。
こう言ってはなんだが、いかにもボケそうな働き方や家での過ごし方をしていれば、そうなるのは避けられまい。
簡単に言えば、頭を使わないということ。ただ、当のご本人は使っていると思っているのだ。・・・ここが肝。

例えば、認知症予防として、毎日散歩、指の運動、数字のドリル、等々・・・が推奨されている。確かに、どれもこれも、かなり脳味噌を使うことになりそう。従って、効果アリと考え勝ちだが、それはなんとも。プラスもマイナスもありえると考えるべきでは。
特に危険なのは、毎日一所懸命やっているから、万全な予防体制だと考えてしまうこと。そんな発想こそ、実はボケの道。・・・これが小生の考え方。

同じパターンを日々繰り返す、ルーチン的「トレーニング」では、本格的に「頭を使う」ことにはならないと考えているからである。ここで間違えてはいけないのは、毎日、同じ時間、同じ道筋の散歩では、効果が無いと言う話をしている訳ではないという点。日々の変化、季節の移り変わりを味わいながら、道端の草に生命の息吹を感じ、感興が湧いて、歌を詠んだりするなら、最上級の頭脳活動になるからだ。
プラスかマイナスかを決めるのは、あくまでも創造的活動をしているかどうか。表面的な活動はなんでもよいのである。と言うか、ヒトによって、どのような活動が「創造」に繋がるかは違うから、なんとも言えないのである。

要するに、創造的活動が嫌いな人は確実にボケるということ。
しかし、創造的活動をしてさえいればボケないと短絡しては不味い。認知症テストを見るとわかるが、ボケは社会的な視点で評価されており、自分の世界で活動しているだけでは駄目なのである。
従って、「世間一般の目」から見てボケていないように映る努力を怠らないようにすることが重要である。

こちらは、難しいことはないが、創造的活動とは違い、面白くない。努力も必要となる。
例えば、引退せず、なんらかの仕事を続けるというのは、この点では一理ある。ただ、仕事の仕方によるが。

なにをするかといえば、それは実に単純なこと。「ポカミス」をしないように頑張るというだけ。
「ポカミス」を老人になったから致し方無しと片付けるのは不味い。それは、高齢化の結果と言うより、すべての行動が習い性になっており、緊張感を失った結果。

会社勤めをしたことがあれば、「ポカミス」がどうして発生するかは、一度は習ったことがあろう。それを思い出せばよいのである。そして、それをどうやって防止するかもわかっている筈。
以下、思い出して記載してみただけなので、網羅的ではないがご参考まで。
どれも、経験豊富な人が陥り易いパターン。若い人ほど多く発生するタイプもある。本人も、「ボケだな。ポカやってしまった。」と口に出すことになるのだが、傲慢なことに、自分はボケているとは思っていない。一方、高齢者はついに自分にもボケが来たと納得してしまい、ポカを避ける努力をしなくなる。こまったもの。

(タイプ1) 初めてのことでは無いとの意識がある場合、ボーとしていると、ついついなにか忘れる。経験豊富な人ほど、惰性に流されミスを犯す。
○勘違い
 惰性で行動するようになると、注意力散漫となり、済ませたか否かわからなくなる。
 ・終わったと勘違い。(し忘れ)
 ・終わっていないと勘違い。(繰り返しミス)
○抜け落ち
 同時に複数のことをしていると、網羅しているかわからなくなりがち。欠落に気付かない。
 ・手がけたまま放置。(ほったらかし)
○間違い
 ついつい、習慣的なやり方や目標に変更してしまう。
 ・不適切なやり方で進める。(やり間違い)
 ・できないのに手がけてしまう。(無理な行動)

(タイプ2) 何事も、忘れることはママあるから、それを防止しようと図るもの。ところが、その確認タイミング設定や防止の仕掛けが稚拙だと効果はない。
○すっぽかし
 ・予定表記載イベントを無視してしまう。(スケジュール誤認)
 ・To Doリストを作っても効果なし。(いい加減)
○まさかの忘却
 ・覚え易いつもりが、逆だったり。(パスワード忘却現象)
 ・他人にわからないものは、自分でもわからなくなる。(格納先忘却現象)

(タイプ3) 新しいことに対応するには、緊張感が必要なことはわかっていても、新しいことと気付かないと対処に失敗する。
○気付かない不慣れ
 簡単に見えても、微妙な難しさがあると、失敗する。
 自分の能力を勘案し、どの程度注意を払うべきか考えないからだ。
 ・予測と違うので驚き、コケる。
 ・周囲を確認せず動き、トラブる。
○網羅性の欠如
 知ったばかりの情報を、すぐに頭で再整理する習慣ができていない。
 その結果、不完全情報になってしまうことが多い。
 ・情報が5W1H的に揃っていないことに気付かない。
 ・情報元や、情報伝達先が、どうなっているか、わからなくなる。

(タイプ4) コミュニケーション不全になることは少なくない。その原因は、おそらく会話の質が低いせい。情緒的な会話中心で、「コレ、ソノ手で、アイツに、やってもらったのか?」といった言い回しをしていれば、その副作用は確実に現れる。
○用語浮かばず
 イメージ的にわかっていても、固有名詞が思い出せない。
 様々なカテゴリーで想像するしかないが出てこない。
○同じ質問の繰り返し
 特段関心もないのに、会話を成立させるためのつまらぬ質問。
 相手にしてみれば又かという手のもの。
○古い話の繰り返し
 自分の立ち位置を会話の相手に示すために、逸話を持ち出す。
 その都度、考えるのは面倒なので。決まりきった話になる。

こうして書いてみると、仕事をキチッと仕上げるというのは、結構面倒なもの。それを面倒と思わないのは、働くことに意義を感じているからである。それを失えば、当然ながら上記は手抜きになっていく。それがボケである。引退しても、惰性に流されず、この緊張感を持続できるかは、なんとも言い難いものがあろう。
従って、一番良いのは、こんなことを気にしないで生活すること。ただ、それを可能にするためには、周囲の人々から、コノ方は創造的なことをして暮らしているとの認知を得る必要がある。それさえできれば、ポカミスをしようがが、ボケをかまそうが、誰も気にしない。ボケたと言われることはまず無い。そして、実際、ボケないのである。


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