■■■■■ 2012.12.30 ■■■■■

  里芋の呼び名

沖縄料理の芋として有名なのが「田芋(ターンム)」。専用水田での栽培なので、別名として「水芋」。
「里芋」と言いたいところだが、薄紫色だし、粘りが極めて強いので、一寸違うかなという印象。芋も大きいから、親そのものだから、里芋と呼ぶべきではなさそう。名称から、ポリネシアの「タロ」芋から来ているのかと思ったりするが、「ターンム v.s. ヤマンム」の対比で見ることができるから、「田 v.s. 山」の芋(ンム)ということになる。
しかし、一般的には「里 v.s. 山」ではないだろうか。非山芋となれば、以下のようなところ。
  ・里の芋・・・・サトイモ
  ・土地の芋・・・ジイモ
  ・泥の芋・・・・ドロイモ、ツチイモ
実は、もともとは、「家 v.s. 山」だったらしい。言われてみれば当然の話である。備後や五島列島での呼称「エノイモ」はその名残と見なせるそうだ。成る程。

沖縄の話に戻ると、「田芋」とは別に里芋もある。小芋がつくということだろう。「チンヌク」と呼ばれており、「ンム」は付かない。土地の子という意味だろうかなどと想像してしまう。
さらに南の先島では里芋は「ムジ」と呼ばれるようだ。沖縄本島では茎を指すこともあるから、「ンム」のズイかも。そうなると、「ズイキ」あるいは「葉芋」との意味になる。

今やイモと言えば、どこもサツマイモかジャガイモを指す。里芋は亜流の地位に甘んじているが、それはないゼということで、名称に刻み込んでいる地方も少なくないようだ。
  ・真の芋・・・・マイモ
  ・本当の芋・・・ホンイモ
  ・只の芋・・・・タダイモ
もちろん、そんな形容すること自体邪道ということで、単純に「イモ」あるいは「ウム」と呼ぶ地域もある。

(本) 佐藤亮一 監修:「お国ことばを知る 方言の地図帳」(「方言の読本」増補改定版) 小学館 2002年
(当サイト過去記載) 里芋の話 [2007.10.23]、山芋の話 [2007.9.4]


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