■■■■■ 2013.6.27 ■■■■■

  中国リスク顕在化の報道多し

アベノミクスは後は野となれ山となれの賭けだが、それ以上に巨大な賭けが中国共産党のバブル経済路線。
いつかバブルは弾ける。革命大好きの風土だから、一気に統治機構崩壊という可能性も否定できない。要注意モードだゾとの主張が増えているようだ。

「世界は中国指導者がその巨大経済を巧みにコントロールしているものと思っていた。」・・・ソリャそうだ。独裁国だから、どうにでもなる。いつか、中国バブルが崩壊するのは間違いないが、相当先であるとたかをくくっていたのは間違いない。このところの金融業界の動きを見ていると、どうもそうはいかないようである。
「人民銀行が流動性に関して強硬な立場を取ったことで、投資家は中国の金融システムの健全性と経済成長にますます不安を覚えた」というのだから。

中央銀行の力はさしたることなしという状況が露になってしまったのは大きい。このことは、中央政府も張子の虎にすぎないかも知れぬと考える人が一気に広がることを意味する。
もともと、中国的独裁体制は原理的な矛盾を抱えているから、ブラックボックスだらけになる。バブルの規模が巨大なことは誰でも知っているが、誰も実態はわかていない可能性もあり、コントロールどころではないかも知れないのだ。
  ・権力闘争を回避するため、大損失は隠蔽され、解決しないまま放置される。
  ・人民解放軍が国軍ではないため、軍区毎に独立経済王国化し、制御できない。
  ・地方政府の政治的な迂回融資は常態化しており、投資実態が把握できない。
  ・国策企業への極端な傾斜配分を続けているが、それが財テク資金化して久しい。
  ・個人の余剰資金は、価値実態と乖離した不動産や株に向かっている。
ただ、それが問題化するのは、経済成長率が落ちてきた時。成長していれば、キャッシュが回るから表面化しない。ところが、キャッシュ不足に直面しそうと感じた瞬間、全員、泥船から逃げる算段を始める。こうなってしまえば手に負えなくなる。・・・確かに、正論。だが、そこまで間抜けな政府とも思えないが。

しかし、中国経済が変調をきたしているのは間違いない。円安とはいえ、日中貿易が日米貿易を下回る状況になりそうなのだから。(中国では、現場が不調だと、本当の数字を上に報告しないのが伝統。変調を感じたら、公表数値は信用しない方が無難。)
もっとも、それでも先進国のような低成長率に陥ることは考え難いから、全世界を混乱させるまでには至るまい。

とはいえ、すでに、国営企業は設備過剰に見舞われている可能性は否定できない。ダンピング輸出もそうそう続けられなくなるし、融資先企業も投機でしのいでいるらしいから、株価や不動産価格が暴落するとアウト。政府が救うことになろうが、一悶着あるだろう。
地方政府の果敢なインフラ投資も、成長率が低迷すると途端に行き詰る。どこかの地方で破綻が発生すると、金融不安が広がってもおかしくない。まあ、強引にそれを押さえ込むことは、独裁政権だから難しくはないかも。波乱は決して小さなものではないが。

ただ、それが「動乱」に繋がると話は別。
今までも小規模な反乱はあったが、その引き金は、もっぱら強引な都市化や工業化。農民層から発生したものである。宣伝とは違い、政府の基本姿勢は徹底弾圧以外ありえない。安価な労働力の安定供給と、それを雇用することこそが経済発展の鍵と見ているに違いないからだ。
しかし、これからの反乱主体は農民ではない。都市の下層労働者となる。今までは、コントロールしながらの小出しの「飴」政策を続けてきたが、都市経済の乱調で直撃される下層労働者を救うことは無理である。すでに、中国は都市人口が農村人口を越えているから、この層の反乱が発生すると大事。下手をすれば、燎原の火のように広がるからだ。

表立った議論は無理だが、隣国がもしもそうなったら、どう対応すべきか考えておくべきだろう。

(記事等)
【コラム】中国当局の手に負えないモンスター経済−ペセック 2013年6月25日(ブルームバーグ)
上海外為市場=人民元小幅続落、中国経済と金融システムへの懸念で 2013年 06月 25日 20:13 JST  ロイター
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