■■■■■ 2013.7.7 ■■■■■

  希望の星起用人事に拍手

村木厚子厚生労働省事務次官が登場。実に喜ばしい限り。
逮捕時に、当時の舛添厚労相が「大変有能な局長で省内の期待を集めていた。同じように働く女性にとっても希望の星だった」と語ったのがニュースに流れた位で、厚労省の人達から期待されていた方である。
記者会見では早速、「民間に女性登用を呼びかける割には霞が関は成績が悪かった。仕事をして家庭を持つ当たり前のことが実現する社会にしたい」との発言。

そんなことが気になるのは、この組織はまごうかたなき内務省文化だからだ。学閥コネで上手に渡り歩く人達のなかで、ここまで上りつめたのは卓越した才能ありと見て間違いなかろう。

社会保険労務士の父の背中を見て育ち、そこで生まれたパトスが労働行政への思いに繋がっているそうだが、それは今でも続いていそう。
司法・福祉関係者の協力で始まった、障がい者支援活動のための基金を創設したからである。もちろん、それは自らの体験にもとづく教訓を踏まえたもの。
  取り調べで自分の言い分をしっかり貫くこと、
  公判という場で自分の意見をきちんと述べることは
  想像以上に難しいことです。
  いったん、被疑者、被告人という立場におかれた人が
  裁判で無罪を勝ち取ることの難しさを実感しました。

このようなタイプは、サラリーマン的組織のトップには滅多に選ばれないのが日本社会の暗黙のルール。(もちろん、オーナー企業は別だが。)ことあれば、たいていは静かにして状況を観察し、コネの力に頼って復活を待つのである。この点でも、まさに、異例中の異例の人事である。

世論の支持率が高い首相だからこそできた"womanomics"ということか。

これを切欠に、有能な女性をドシドシ起用して欲しいものである。
それを男社会の打破と考えるとうまくいかないかも。重要なのは、先ずは、男優先文化と表裏一体の「お局様」文化を消し去ることから。群れて有能な人の足を引っ張る状況を変えることがなによりも重要。
それには、誰が見ても有能だとわかる女性を重職に起用することが出発点。そして、それを目指す潜在能力ありそうな人達にチャンスを与えて育てることに尽きよう。

それができて、初めて、男社会が変わる。
女性を排除している社会との狭い視野で見ていては駄目。異端をカットする一枚岩が最善という思想の一つの結果でしかないからだ。男社会にしても、異端児の力はさっぱり活用できない状況にあるのだから。今のままでは、国力は急速に落ちていくことになってしまうとわかっていても、なさけないことに変えられないのだ。
ドングリの背比べで、コネを作って安全牌を引くだけの人だらけになっている状況に風穴をあけることができるのはおそらく女性である。

そういう意味で、村木事務次官は、働く女性の希望の星と言うより、日本の希望の星そのもの。

(余計な一言)
一連の動きを見ると、この方は口に出さないが、社会の実情をよく見ていそう。キリスト教社会である米国では、共和党の「麻薬戦争」戦略の批判書でもある、「The New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness」がベストセラーになるような風土で、日本とは大違い。おそらく、そんなことは先刻ご承知。これではなんのことだかわからないか。


(記事)
「霞が関、女性登用に遅れ」 村木厚労次官が会見 2013/7/2 20:49 日経
特集 障害者割引郵便不正【9】働く女性の希望の星だった 2009年6月15日配信 時事通信社
(引用)
村木厚子: 「共生社会を創る愛の基金 設立にあたり」 社会福祉法人 南高愛隣会
(当サイト過去記載)
「お局さんのイジメ話」 [2013.6.19]


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