■■■■■ 2013.10.25 ■■■■■

ノーベル賞のセンス

日経「私の履歴書」が利根川進氏のバージョンを連載中。それをお読みになった柳田充弘氏が次のように述べておられる。
  「ラスカー賞がある程度政治の対象になるのに、
  ノーベル賞は全然違っていた。
  当時の日本の分子生物学者の多くがうすうす感じたことが、
  受賞者自身から語られて
  たいへん貴重な言葉」


ラスカー賞の受賞者は複数だったが、ノーベル賞は単独だったことの「凄さ」の話。
これだけではわかりにくいか。
ラスカー賞は、おかしなことに相対立する理論を主張している人を同時に選定したのである。
  利根川理論は、「体細胞変異説」。
  一方は、「生殖細胞系列説」。
ノーベル賞はそうではなかったという訳。

まあ、ノーベル賞はなかなか味のある受賞者選定をしているということでは。

それがわかるのは、2013年経済学賞。
経済学に全く無知であっても、コリャなんなんだという選定である。
お二方の有名なところを書けば以下のようになる。
○ロバート・シラー/Robert James Shiller
  行動経済派
  ・S&Pケース・シラー住宅価格指数
  ・市場参加者の心理的要因でバブル発生
○ユージン・ファーマ/Eugene F. Fama
  効率的市場派
  ・価格は利用可能な情報を反映して決定
  ・企業はCAPMモデルで最適経営を推進


誰が考えたところで、両者は水と油でないかネ。

一方は、市場には合理的なところなどなく、心理的に一方向に流され易いという点を注視している。不合理であっても、皆がその気になればトンデモない方向に動くことこそが、原理だと見ているとしか思えまい。

片や、市場とは、本質的に合理的に動くものと考える訳だ。参加者は個々に、資本コストを考えながら、状況を勘案して最適な投資に励むという発想。その協同行動が経済原理と見るのだろう。バブルが発生するとしたら、誤情報の影響と見るべきなのかも。

コリャ、同居などはなから無理では。

要するに、経済学とはその程度のモノということかネ。
ブラック-ショールズ方程式で受賞するだけの理論構築能力があっても、現実の投資になれば、巨大ヘッジファンドを破綻させてしまう訳だから。

(ブログソース) 生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2013年 10月 22日 利根川進さんのわたくしの履歴書のなかでの言葉
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