■■■■■ 2013.10.30 ■■■■■

稲盛経営の残念

日本航空を立て直したことで、稲盛経営は素晴らしいとされている。まあ、ミクロ論ではそうかも。
しかし、そういう話を聞かされると、経営論の空しさを感じない訳にはいかなくなる。

はっきり言えば、日本航空を利益体質の企業に建て直してもらった瞬間、「地方」の将来は失せたと見ているから。
コレ説明の要なしと思っていたが、どうもそうではなさそう。

理屈だけで言えば、最良の策は分割身売りだったのでは。
言うまでもないが、そんな過激な方法は、自民党には不可能。集票の道具でもあったのだから。
と言って、非自民党政権も、労働組合党や、公的企業赤字存続派を抱えるから、そんなことができる訳もない。
そういう意味では、政府の大盤振る舞いはあったとはいえ、確かに稲盛経営による建て直しは悪くなかったと言えなくもない。

でもネ、一番の問題は、建て直してもらったら、航空運賃を抜本的に下げる方向には一歩も進まなくなるということ。
債務を減らしてもらい、余裕しゃくしゃくの経営が可能になった訳で、新陳代謝抑制を旨とする政党だらけの国なのに、そんなことをする経営者がいたら大笑いである。

このお蔭で、日本国内の航空運賃はこの先高止まり間違いなし。(言うまでもないが、幹線のことではない。)これは、地方の将来の芽が摘み取られたということに他ならない。
下駄履き航空路線化が実現できない限り、地方への、ヒトやカネの流れが活発化することはあり得ないということ。
(尚、今から、地方に、鉄道/道路敷設というのは、バラ撒きで食べ続けたい人達のための施策でしかない。インフラ維持のための負担増は他への投入量減少を意味する。ますます低迷の可能性もあり、いつでもスグに地元に戻れるということで、若者や起業家の出奔が促進されること間違いなし。一方、都会から見れば、時間と費用がかかる地域との印象はほとんど変わらない。)

観光資源だ、ユルキャラで行こう、はたまた特区はどうか、といった「横並び」施策をいくら進めたところで、地方経済におけるこの手の施策は乗数効果は1以下でも驚くに当たらない。交通費負担が重く、不便な場所である限り、ヒトとカネが都会から流れることなどあり得まいというだけの話にすぎぬが。
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