■■■■■ 2014.1.11 ■■■■■

ワトソン事業に期待

IBMのCEOが経営陣に、10年以内にワトソンを年間売上高100億ドルの事業に成長させたいと語ったそうだ。長期事業計画によれば、2018年までに年間売上高10億ドル達成ということらしい。
久方ぶりの投資話であり、頑張って欲しいもの。

日本はずっと続いてきたから気にもならなくなったが、米国は酷い状況。言うまでもないが、大企業の投資意欲の減退ぶりのこと。
お金を金庫に入れたままで、成り行き上必要な投資以外は控える姿勢が続いている。

日本の場合は、産業の新陳代謝抑制勢力と、企業の自由度を減らす規制命の勢力による、税金バラマキ政治が行われている以上、果敢な投資が発生する訳もない。それに、人口減少が進んで行く訳だし。
しかし、そうではない米国で、大企業の姿勢が似たようなものとはこまったもの。・・・米国のハイテク企業の懐には、とんでもない量の現金が「あるだけ」なのだから。コリャ、なんだかネの世界である。
資本主義の命は、野心的な新産業構築。それを支えるのがカネ回りの筈。ところが、今や、カネをただただ寝かせるだけの企業が主流。しかも、IT系の華やかな企業ほど、カネを積み上げているとくる。

もっとも、そうは見たくない人の方が多数派の社会である。一番資本主義的な企業とみなし、褒めそやす人だらけ。
小生には、飛躍のためには現金が必要と大言壮語しているだけに映るが。
カネが唸っていれば、優秀な人を集めることができるのは確かだが、それが技術革新に繋がるというセオリーはドグマにすぎないと見ているせいもある。

そんな雰囲気下で、IBMがワトソン事業に10億ドル投資との発表。ようやく、逆流に抗した動きが生まれた感じがする。曙光が見えてきたなら嬉しい限り。拍手を送りたくなる。

ただ、外野からすれば、規模感として、もう少し上を狙って欲しかったところだが、それはどうでもよい話か。なにせ、カネを積んだからといって、成功に近づくような手のビジネスではなさそうだから。

おそらく、成否を決めるのは、取っ掛かり応用分野選定だろう。ヒトでも、「学習」には様々なタイプがある。まかり間違っても、時間がかかる割りに効果が薄い領域に手を突っ込まないことが肝要。その見極めは、そう簡単ではない筈だ。

手間もたいしてかからず、期待を集めているから、成果は確実にあがると考えていても、実際に学ぶと間違っていたりするのは世の常。重要なのは、それに気付いたらすぐ止めること。もう少し頑張れば道は拓けるというのは、たいていは直観的に打開策ありと感じている時である。無理なつっこみだけは避けて欲しいもの。
と言うのは、泣かず飛ばずで、下手に注力ばかりしていると、こんなものはさっぱり役に立たぬという噂だけが流布されかねないからだ。市場創出には、これが一番怖い。技術革新嫌いは五万と存在するから要注意である。
記事を読むと、そこら辺りの兆候を感じざるを得ない。危惧であって欲しい。

(WSJ日本語版記事)
IBM、人工知能「ワトソン」の専門部署を設立 2014年 1月 10日 07:00 JST
IBM、人工知能「ワトソン」の事業拡大に苦戦 By SPENCER E. ANTE 2014年 1月 08日 18:09 JST


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