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■■■■■ 2014.9.28 ■■■■■


ポアロ登場が待たれる

薄暗い部屋には静謐な空気が流れています。
紅茶のサーブが始まりました。

さっきから、日本の新聞をじっくり読んでいた、ヘイスティングズ中尉が口を開きます。・・・

「これは少々おかしいですな。
 小1女児バラバラ死体発見の事件なんですが。」

「犯人逮捕で、
 どんな人か、個人生活の詳報が続いています。
 しかし、殺人容疑の逮捕ではないのです。
 ポアロさん、驚いてはいけません、
 イングランドではないのですから。
 日本では、極く普通の報道なのです。」

「バラバラ死体が被害者宅ご近所の林から、
 なんと、失踪後1週間以上もたって
 突然、発見されたのですゾ。
 ご近所の方々も無視していたし、
 警察も全く捜索しなかった訳です。」

「殺人事件発生など
 有りえぬと見ていたのでしょう。
 事故がありそうな川縁や廃屋の
 徹底捜査がされたようです。」

「ポアロさん、
 これも驚くことではありません。
 それが普通の態度と言ってよいでしょう。
 日本は、
 小学校1年生一人の通学に
 保護者がつきそわない国なのですから。
 警備員さえいない学校も多いのです。」

「失踪後、大々的な報道がされました。
 目撃情報の解説だらけだったのです。
 被害者は広域を歩いていたようです。
 警察犬起用は無理でしょう。
 死体発見場所とは離れた地域での
 捜索に全力を注いだと思われます。」

「従って、
 遺体は偶然発見されたようです。
 時間が経過していますから、
 殺された日時も特定できないようです。」

「これは警察の大失態と指弾する人もいます。
 ポアロさん、
 日本は警察叩きも多いのです。
 ミスは許さない社会かもしれません。
 警察もあせっていることでしょう。」

「なにせ、
 未だに、
 逮捕されたのは、
 死体遺棄容疑者だけなのです。」

「もっとも、
 日本の新聞は、
 殺人者とみなしていそうです。
 ポアロさん、ビックリしないで下さい。
 これも日本の文化なのですから。
 疑わしい人は社会から罰せられるのです。」

「そういうことで、物証が無くても、
 警察はそれに応えて動くことになるでしょう。
 社会的に犯人と断定されてしまうのですから。
 日本ではそれがジャーナリストの使命らしいのです。」

早速、エルキュール・ポアロの「灰色の脳細胞」が活躍。

  「ヘイスティングズ君、順に見てみましょう。」

【時間的流れ】
 12日 「神戸で小1女児が行方不明」
 23日 「自宅近くで、袋に入った遺体発見」
 24日 「死体遺棄容疑者逮捕」
 26日 「容疑者宅に女児リュックサック」
【遺体の状況】
 ・場所は被害者宅から約100m
 ・頭部、胴体、両足切断
 ・何重にも重ねられたポリ袋(様々)
   -神戸市指定のゴミ袋
   -スーパーのレジ袋、等
 ・サンダル、ワンピース
 ・容疑者の診察券在中
 ・容疑者のタバコの吸い殻
【逮捕された容疑者のプロフィール】
 ・無職
 ・住居は死体発見場所の近所
 ・アパート住い
   -玄関を入るとキッチン、和室、洋室
 ・アルコール中毒の可能性


  「殺人者がわざわざ物証を残すとは思えません。
   死体もバラバラにして運んでいます。
   朦朧とした状態の殺人ではありません。
   冷静かつ沈着、周到に、手順を踏んでいます。」

【16日:被疑者に捜査員接触】
 ・コンビニ防犯カメラ映像に姿
  (被害者の後を歩いていた。)
 ・被疑者発言:「酒に酔っていて覚えていない」
 ・任意の容疑者宅内確認
   -室内雑然
   -生活ごみ/食べ残し入りポリ袋
   -失踪を示唆するモノ無し
 ・風呂場も点検
   -令状捜査レベル
【被害者宅内の犯行証拠】
 ・当初なし
   -殺人現場では無い
   -殺人を示唆する物証無し
 ・その後、突然、被害者のリュックサック発見


  「殺人現場が逮捕者の住居ではないのです。
   死体発見現場近くでもありません。
   徹底捜索していますから
   空家や廃墟はあり得ません。
   逮捕者宅以外の室内殺人なのです。
    これは難事件です。
    誰も、なにもわかっていないのです。」

  「ポアロには見えてきました。
   真犯人は、・・・」

残念なことに、このお話の先はありません。

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