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■■■■■ 2014.10.8 ■■■■■


レジ袋banをどう見るか

ついに、・・・
 "Gov. Brown signs phase-out of single-use plastic bags in stores"
  by PATRICK MCGREEBY Loa Angeles Times 2014/9/30

カリフォルニア州で、スーパー(いわゆる米国流ドラッグストアも含め)、コンビニ・酒屋等(1年遅れ)での所謂レジのポリ袋禁止法案が施行へ。以後、持参袋での購入か、今迄無料だった紙袋(あるいは再利用ポリ袋)の購入を選択することになる。すでに、L.A.やS.F.等の自治体では実施中であり、州法で規定するまでになったということ。産業界の反対で難しかろうとの見方もあったようだが、もはやそれは無理なところまで来たようだ。共和党敵信条でもある、政治の介入を嫌う小売業界ではあるが、有料袋販売というインセンティブで、レジ袋ban賛成に回ったということかも知れぬが。
サインの時期からみて、ギリギリでの政治的決断と思われる。
もちろん、ガバナーは全米初導入と誇らしげ。曰く、"we won't be the last."。

流れは決まったかの如し。

日本でも全国的に、レジ袋の有料化、あるいは、不使用の場合の値引きが進んでいる。その結果、「レジ袋不要」カードを提示しないと、レジ袋が必要か質問することが当たり前になったようである。
実際のところ、どこまで持参バッグ化が進んでいるのかはわからぬが、自治体がマイバッグ運動を進めている地域は少なくない。小生も、ハイキング返りに駅前を歩いていて、レジ袋使用状況アンケート調査に参加したら、マイバッグを頂戴した覚えがある。
そこまでしても、よくて3割ではないかと見るが、どうなのだろう。なかには、レジ袋辞退率が9割を越えている地域もあるようだが。

ともあれ、環境保護運動のなかで、マイバッグ運動は最重要課題になっている印象を受ける。
そういう時に、こう言ってはなんだが、小生は重要性は低いと見る。バンバン化石燃料を燃やさせる方向に進めと圧力をかけておきながら、極く僅かな化石燃料を減らすことが輝かしい第一歩という論理にはついていけないことでもある。
それに、原油留分の一部だけ減らす手はお勧めではない。バランス良き利用方法を乱しかねないからだ。

ただ、一生活者としては、ポリ袋が散乱しっぱなしの風景が減るのは実に有り難いこと。(但し、それは正当な見方ではない。散乱するゴミを眺めれば、ガラス瓶の欠片や、缶、PETボトル等々も一緒に存在しているのだから。)

ビジネスの常識的判断とは、同じ労力を投入するなら、最大の効果が期待できる分野に注力するというもの。
レジ袋削減は、これとは異質な施策であることに注意を払う必要があろう。つまり、全体の効果を考えず、なんであろうと「できるとことからやる」主義ということ。なかでも問題は、議論の余地なき「正義」の施策と見なす点。様々なオプションを考えさせない点で、実に危険な流れだと思う。
要するに、先ずはムード作りからという展開ということでもある。そこには、ムードが醸成されれば、社会の大転換も図れる「だろう」との発想がありそう。一見、まともそうに聞こえるが、課題設定の議論を遠ざける姿勢が貫かれているから、どのように意思決定のスタイルになるのかは想像にかたくない。

間違えてはいけないが、日本には、「できるものはすぐに実施」という企業は少なくないが、こうした取り組みはそれとは似て非なる方向。常識で考えれわかると思うが、まともな会社なら、別途、最重要課題の取り組みが着々と進んでいるのが当たり前。そういう組織では、当たり前の感覚というものが出来上がっている。・・・些細なものにも目を配る余裕を失った状態では、肝心要の方を仕上げることができる訳がなかろう、と。

単純な狭い見方で動く正義論の特徴は、この肝心要の課題が曖昧な点。

もちろん、それでも、マスコミが支援するから、ムードは高まるのは間違いない。しかし、そこから実効性ある次の行動に繋がる保証はなにもない。しかも、その些細な動きがプラスに働くとは限らないのだ。それこそ風が吹けば桶屋が儲かる式の影響を考えない単純正義論を振りかざすだけだから、副作用が表れる可能性もあろう。

例えば、カリフォルニア州の場合、膨大な紙消費の流れが生まれないとも限らない。ことは、紙袋使用量が増えるというだけの話ではないからだ。脱ポリが少消費者の好みと見てとれば、企業は、商品パッケージングの脱プラスチック化を始めるだろう。それは、言うまでもなく、木材資源需要の急伸を意味する。
従って、トータルで環境維持に貢献する動きに繋がるかは、なんとも言い難し。

(記事)
カリフォルニア州全体でレジ袋禁止に、州知事が法案に署名 By ALEJANDRO LAZO And ZUSHA ELINSON 2014年10月1日 14:35 JST WSJ日本版翻訳
南信州レジ袋削減推進協が総会、辞退率92・6% 2014年 9月 20日 土曜日 11時01分 南信州新聞


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