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■■■■■ 2014.12.17 ■■■■■


変化を嫌う危険な政治体質

選挙直前なので、どのように報道するのか関心があったので、13日夜のニュースをたまたま見ていた。
そのため、驚きのシーンを見せつけられることになった。日本の統治体質が一目でわかる報道。

と言っても、政治とは全く無関係のニュース。

文章では、このようになっているシーンが映像で流されただけ。
 「・・・羽田空港に帰国された。
  タラップを
  しっかりとした足取りで降り・・・」

もちろん、この記述、100%正しい。

気温もことのほか低い日だったし、日が陰り始め、寒さが体に沁みる時間帯でのこと。しかも、飛行場の寒風吹き晒し状態なのが、一目瞭然。

以下のような様子は微塵も感じさせなかったのである。

 階段の下をじっくり見ながら降りた。
 手摺りを掴みながらそろそろ降りた。
 すぐそばに、いつでも支えることができる
  補助者がつきそっていた。
 下り易いように配慮した特別な階段を使った。

もちろん、そんなことは不要なほど元気溌剌なら、「流石」という称賛の声をあげたくなる。
しかし、そんな筈がないことは誰でも知っている。

大分前から、膝を相当に痛めている状態との話が伝わって来ていたからだ。年齢的にも、傘寿を迎えたばかり。

そういう場合、こうしたシーン、一般的には、リスクの高い行為を推奨したと言えまいか。

階段を下りるのには極めて大きな負担がかかることが知られている。
足腰を痛めていて十分な力が発揮できない場合、足下をしっかり見て歩く必要があるのは当たり前。
たとえ自信があっても、若干の前掲姿勢で、ゆっくり歩くよう医師 から指導されるのが普通。
だが、いくら注意しても、踏み出す足にかかる衝撃はかなりのもの。そのため、躓く場合も多い。従って、手摺に捉まって下り、リスクを減らすのが大原則。
それまでしても、足腰の自由度が低くなっていると、躓きかねないと言われている。
そして、階段から落ちれば、腿骨骨折になりがち。
そこまでいかなくても、大怪我の可能性は少なくない。先日も、階段で躓いて、救急車で入院のニュースが流れたばかり。

・・・可能なら、急な階段を避けるのが高齢者の生活上の鉄則になっている訳だ。

80歳の家族が普段2階に居住しているお宅では、階段に手摺を取り付けるか、階段昇降機設置が推奨されている世の中。後者は、100万円以下らしく、珍しいものでもなくなりつつある。都会では、階段のある一軒家から、エレベーターのマンションに移る老人世帯も少なくない。
言うまでもないが、老人の骨折は以後寝たきりになりかねないから、助成金を出す自治体も多い。

そんなご時世だというのに、政治的に重要ということで、リスクの高いタラップ降り儀式を今後も続ける所存らしい。

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