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■■■■■ 2015.2.27 ■■■■■


中東大動乱の兆し[続]

IS@イラク+シリア(レバント)によるキリスト教徒大量拉致が始まったが、それに先立ってエジプトからリビアに出稼ぎに来ているコプト系キリスト教徒が東部で大量虐殺された。エジプトは空爆を行ったとされるが、おそらく、IS勢力の徴兵活動に追い風となるだけ。
もちろん、ホテルや市場での爆発騒ぎも勃発している。リビア中部の石油施設も攻撃を受け、炎上したとの報道も流れた。
すでに、リビアは2政府状態であり、国家の態をなさなくなりつつあるのは間違いない。

米国がカダフィの重石を取り除いたので、抑圧されていた種々雑多な聖戦主義者や、各地の部族(軍閥)が勝手に動き始めたからだ。
しかも、カダフィ政権崩壊で大量の武器が各部族に流れてしまったから、歴史的な部族的対立がある以上、国家としてまとめるのは極めて難しいものがあろう。
特に、サハラ側は全面的な部族地域であり、アフリカの聖戦主義者が次々と流れ込んでくる環境にある。ここらでは、反近代国家の風潮が蔓延しているのは間違いなかろう。換言すれば、北アフリカの聖戦主義者の根城化している可能性が高い。

一方、欧米が承認している世俗主義的に政権であるトブルク政権は、その政権基盤は国軍と石油基地。しかし、軍とは、部族的軍閥連合(民兵と国軍扱い勢力)に近いから、カネと武器入手の打算的な関係でまとまっていると見た方がよかろう。なにせ、カダフィの圧政をかいくぐって生き延びてきた狡猾な勢力揃い。いずれ、2代目カダフィを狙う動きが発生する。

こんな状況であれば、どうなりそうかは、自明。
部族乱立抗争をまとめるには世俗主義よりは、カリフ統治スタイルが圧倒的に親和性が高いからだ。
もしも、宗教改革運動が勃興したりすれば、それこそチュニジアで興ったファーティマ朝(909-1171)復興の動きさえでかねまい。そんな風土であることを忘れるべきではなかろう。

BBCがリビアの全体俯瞰図を掲載したので、なんとなく現状がわかった気がしたので、まとめてみた。(実態を知る人がいる訳もないから、いい加減な情報と見た方がよいかも知れぬが。)

イエメンもすでに、国家分裂状態。スンニ派アデン政権とシーア派サナア政権だけでなく、その対立を利用しようと画策する部族が絡み、その隙間をアルカイダが蠢く構図ができあがってしまった。この先、混乱が収まる気配はなさそう。

サウジアラビアは、物理的に万里の障壁を建設することになろう。

---最西部チュニジア国境(海側半分)---
Zintan・・・軍閥(欧米認知政権側)
---西部地区---
Zuwara・・・LD+聖戦主義者
Sabratha・・・LD
【Tripori】・・・LD+Ansar al-Sharia
<トリポリ政権:非聖戦派宗教政権>
(「Libya Dawan militia alliance[リビアの夜明け連合]」)
・ムスリム同胞団
・西部ミスラタの有力軍閥
・東部ベンガジのアルカーイダ系
Misrata・・・LD(反カダフィー軍閥、ムスリム同胞団拠点)
Sirte(カダ―フィ根拠地)・・・IS+聖戦主義者
Nofilia・・・IS
---西部地区沙漠側---
Sabha・・・LD,Toubou
---チャド側内陸部---
 Toubou支配域
---ナイジェリア側内陸部---
 聖戦主義者支配域
---アルジェリア側内陸部---
 Tuareg支配域
---東西境---
Sidra(最大の石油輸出拠点)・・・LD v.s. 欧米認知政権側
---東部地区---
Ras Lanuf・・・欧米認知政権側
Marsa al-Brega
Ajdabiya・・・欧米認知政権側 v.s. Ansar al-Sharia
Benghazi・・・すべての勢力
(2012年米国領事館が襲撃されて大使が殺害された。)
Bayda・・・欧米認知政権側
Derma・・・IS+聖戦主義者
【Tobruk】・・・欧米認知政権側
<トブルク政権:世俗主義>
・ダフィ政権で軍高官だったhaftar将軍の国軍
・西部ゼンタンの軍閥


(source)
Islamic State gains Libya footholdBy Farouk Chothia BBC News 24 February 2015 Last updated at 12:17


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