■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[論理性(続)]■■■
論理性という観点で考えると、「說文解字」と「爾雅」は対立的な編纂方針を採用しているものの、前者が現代で言うところの論理性で展開されている書とは言い難いので、誤解無きよう。

文字秩序を示しているとは言え、その論理の根底にあるのは、五行思想と「易」。
五行とは体裁を整えただけの理屈であって、論理性が存在している訳ではないし、「易」とは明らかにcrystal ballやタロットカード占と同類。ここらに論理性の欠片も存在していないが、<理屈>は精緻に整えられていて、これを<論理>とみなすのが儒教国の特徴ともいえよう。

「說文解字」はこの<理屈>を持ち出すことで、論理性を打ち出している様に映るともいえよう。・・・
   其建首也 立一為耑  方以類聚 物以群分
   同牽條屬 共理相貫  雜而不越 據形系聯
   引而申之 以究萬原  畢終於亥 知化窮冥  [「說文解字」叙]

 方は類を以て聚まりて
 物は羣を以て分かれて
   吉凶生じる。  
[「易」繋辞傳上]

しかし、それでも、「爾雅」の十九篇は体系的構成とは程遠いし、記載上、網羅感が生まれないだけでなく、重複あっても致し方なしの方針だから、違いは目立つ。・・・
   詁 言 訓 <親 宮 器 楽 {天地 丘 山 水 草 木 蟲 魚 鳥 獣 畜}>

どの道、現代の論理性が通用する社会でないことは、「說文解字」もはっきりと記載している。通俗用法の<六書>は論理的な分類ではないが、その見方で記述しているからだ。
 指事 象形 形聲 會意 <轉注 假借>  [「說文解字」叙]

当時の社会は、<詩に六義あり。>だったようだが、こちらも、分類と呼べる体裁ではない。
 風 <賦 比 興> 雅 頌  [「詩經」序]

・・・この(官僚による統治という意味での)実用主義こそが中華帝国型分類の肝ということになろう。
「古事記」の倭語文字表記化にあたって、トンデモない雑炊的表記に踏み切ったのは、ここらの体質を理解したからだろう。漢語を公式国語とするなら、倭語の漢字表記も難しい訳ではないと踏んだことになる。
 歌は倭語の一拍音を同じ音の漢字1文字で表記。
 文章上の文法的助辞
(一拍音が多い)も同様。
  但し、漢文助辞と意味が類似なら、そちらを用いる。
  動詞目的語の様な漢語配列により倭語助辞省略も可能。
 通用している漢語で翻訳可能な倭語はママでその漢字を当てる。
  但し、対応漢語を欠くか紛らわしいものは、読みの割注を挿入。
 文章の切れ目がわかるように文字挿入等の配慮を施す。

  

     

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