■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[12c釋水]■■■
蛭蝚 至掌@釋蟲 蛭 蟣＠釋魚
蝚：蛭蝚 至掌 蛭：蟣
("水蛭"は湿地棲吸血虫で下血作用ありとされていた。２種に分別されていたのかも。)
水が穢れを流すという観念と、生命力の源たる葦の枯れた姿が与えるイメージを彷彿させる国生み譚であり、五行や易の影響を感じさせない点が出色。
「說文解字」は"水"文字をかなり思弁的に定義している一方で、五行の北方†との意味付けと、「易経」††の＜【坎】水洊至＞という、これとは無縁な考え方がこの文字に籠められていることを記載している。・・・
《水⇒氵》📖 氵-海＠「古事記」
水：凖 北方之行 [象眾水並流] 中有微陽之气
"準"＝測量水平的儀器 …輈注則利準 利準則久 和則安 [「周禮」冬官考工記 輈人為輈]
≪易≫【坎爲水】水洊至
澤：光潤 洊：n.a. 泉：水原 雨：水从雲下
雲：山川气 靁：陰陽薄動靁雨 生物者 電：陰陽激燿
滅：盡 漸：水⊂出・・・ 渙：流𢿱 濟：水⊂出・・・ (＝渡)
にもかかわらず、≪水≫部所属文字の大半はRiverの固有名詞。"准"や北方というイメージと繋がる必然性は全く感じられない。ところが、字形分析では、それとは無縁な＜眾水並流＞の象形と判定しており、官僚の文字創成とはそんなものと達観していることがよくわかる。
一方、「古事記」だが、倭語に当てている"水"文字※は、字義はWaterのみで、ブレは無い。・・・
言うまでもないが、「爾雅」には、論理的分類を進める思惑は無いから、代表的通俗的用例が並ぶことになる。そのお蔭で、水文字類のイメージ形成の感覚が伝わってくるので、その点では貴重な記載内容と言えよう。
易の記述からは、＜天-雲-Water-雨(降る)-地-澤＞系列と、＜地-山-泉(湧く)-(川)-海＞系列が分離している様にも見え、現代の様に海→雲という見方があったのかは定かではない。(類似字体文字がある以上、"水"の元義はなんとも言い難いところがあるが、そこから派生した比喩的用法が広がっている様にも思えない。)
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† 《易》稱天以一生 故氣微于北方 而為物之先也 ＠「水經注」
††「易経」大象
一＿＿【乾】天行健 君子以自強不息
二＿＿【坤】地勢坤 君子以厚德載物
三＿＿【屯】雲雷 屯…君子以經綸
四＿＿【蒙】山下出泉 蒙…君子以果行育德
五＿＿【需】雲上於天 需…君子以飲食宴樂
六＿＿【訟】天與水違行 訟…君子以作事謀始
七＿＿【師】地中有水 師…君子以容民畜眾
八＿＿【比】地上有水 比…先王以建萬國 親諸侯
九＿＿【小畜】風行天上 小畜…君子以懿文德
十＿＿【履】上天下澤 履…君子以辨上下 定民志
十一＿【泰】天地交 泰…后以財成天地之道 輔相天地之宜 以左右民
十二＿【否】天地不交 否…君子以儉德辟難 不可榮以祿
十三＿【同人】天與火 同人…君子以類族辨物
十四＿【大有】火在天上 大有…君子以遏惡揚善 順天休命
十五＿【謙】地中有山 謙…君子以裒多益寡 稱物平施
十六＿【豫】雷出地奮 豫…先王以作樂崇德 殷薦之上帝 以配祖考
十七＿【隨】澤中有雷 隨…君子以嚮晦入宴息
十八＿【蠱】山下有風 蠱…君子以振民育德
十九＿【臨】澤上有地 臨…君子以教思无窮 容保民无疆
二十＿【觀】風行地上 觀…先王以省方 觀民設教
二十一【噬嗑】雷電 噬嗑…先王以明罰敕法
二十二【賁】山下有火 賁…君子以明庶政 无敢折獄
二十三【剝】山附於地 剝…上以厚下安宅
二十四【復】雷在地中 復…先王以至日閉關 商旅不行 后不省方
二十五【无妄】天下雷行 物與无妄…先王以茂對時 育萬物
二十六【大畜】天在山中 大畜…君子以多識前言往行 以畜其德
二十七【頤】山下有雷 頤…君子以慎言語 節飲食
二十八【大過】澤滅木 大過…君子以獨立不懼 遯世无悶
二十九【坎】水洊至 習坎…君子以常德行 習教事
三十＿【離】明兩作 離…大人以繼明照于四方
三十一【咸】山上有澤 咸…君子以虛受人
三十二【恒】雷風 恒…君子以立不易方
三十三【遯】天下有山 遯…君子以遠小人 不惡而嚴
三十四【大壯】雷在天上 大壯…君子以非禮弗履
三十五【晉】明出地上 晉…君子以自昭明德
三十六【明夷】明入地中 明夷…君子以蒞眾 用晦而明
三十七【家人】風自火出 家人…君子以言有物 而行有恒
三十八【睽】上火下澤 睽…君子以同而異
三十九【蹇】山上有水 蹇…君子以反身修德
四十＿【解】雷雨作 解…君子以赦過宥罪
四十一【損】山下有澤 損…君子以懲忿窒欲
四十二【益】風雷 益…君子以見善則遷 有過則改
四十三【夬】澤上於天 夬…君子以施祿及下 居德則忌
四十四【姤】天下有風 姤…后以施命誥四方
四十五【萃】澤上於地 萃…君子以除戎器 戒不虞
四十六【升】地中生木 升…君子以順德 積小以高大
四十七【困】澤无水 困…君子以致命遂志
四十八【井】木上有水 井…君子以勞民勸相
四十九【革】澤中有火 革…君子以治歷明時
五十＿【鼎】木上有火 鼎…君子以正位凝命
五十一【震】洊雷 震…君子以恐懼修省
五十二【艮】兼山 艮…君子以思不出其位
五十三【漸】山上有木 漸…君子以居賢德善俗
五十四【歸妹】澤上有雷 歸妹…君子以永終知敝
五十五【豐】雷電皆至 豐…君子以折獄致刑
五十六【旅】山上有火 旅…君子以明慎用刑 而不留獄
五十七【巽】隨風 巽…君子以申命行事
五十八【兌】麗澤 兌…君子以朋友講習
五十九【渙】風行水上 渙…先王以享于帝立廟
六十＿【節】澤上有水 節…君子以制數度 議德行
六十一【中孚】澤上有風 中孚…君子以議獄緩死
六十二【小過】山上有雷 小過…君子以行過乎恭 喪過乎哀 用過乎儉
六十三【既濟】水在火上 既濟…君子以思患而豫防之
六十四【未濟】火在水上 未濟…君子以慎辨物居方
※ 「古事記」"水"用例
【地名】
水門(東之淡水門 和那美之水門 紀國男之水門/男水門)
走水海
居寤淸水/玉倉部之淸泉
[宮名]師木水垣宮
【国名】
豐葦原之千秋長五百秋之水穗國/豐葦原水穗國
【神名】
水戸神
天之水分神 國之水分神
水蛭子
深淵之水夜禮花神
【人名】
息長水依比賣 水之穗眞若王/水穗眞若王 水穗五百依比賣
蝮之水齒別命
【water】
於水底滌時 於水上滌時
逆塞上天安河之水
其海水之都夫多都時名 謂都夫多都御魂
豐玉毘賣之從婢 持玉器將酌水之時・・・
乞欲得水 婢乃酌水 入玉器貢進 爾不飮水・・・
故其人乞水故 奉水者 不飮水・・・
爲然者 吾掌水故 三年之間 必其兄貧窮
渡到河中之時 令傾其船 墮入水中 爾乃浮出 隨水流下
還幸之時 所駈使於水取司
爾匍匐進赴 跪于庭中時 水潦至腰
其臣服著紅紐青摺衣 故 水潦拂紅紐 青皆變紅色
故以是船 旦夕酌淡道嶋之寒泉 獻大御水也
⏩続
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