■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[12e釋水]■■■
舟の記載があるが解釈は難しい。
  天子<造舟> 諸侯<維舟>
     大夫<方舟> 士<特舟> 庶人<乘泭>

天子使用の御座舟としても、遊覧から戦艦まで考えられ、用途が広過ぎ、想定しにくい。
しかし、身分毎の用船規定として記載されている以上、誰でもが直面する、渡河の際のルールと考えてよさそう。

この4舟のうち、解釈として一番確実そうなのは<方舟>。2艘の舟上に板を敷くことで連結した双胴船だろう。
  就其深矣 方之舟之 就其淺矣 泳之游之
     [「詩經」國風 邶風 谷風]
<造舟>と言えば、船を造るという以外の意味は考えにくいから、これを踏まえれば、船の集団を互いに繋ぎ留めて合併舟で浮橋を建造するという意味と思われる。
  大邦有子 俔天之妹 文定厥祥 親迎于渭 造舟為梁 不顯其光
     [「詩經」大雅 文王之什 大明]

そうだとすれば、<維舟>とは、3舟か4舟連結と言うことになろうし、<特舟>は渡河用の単舟を意味しよう。
庶人は乘舟が認可されておらず、簡単な丸太(松 or 柏)筏で<乘泭>として対処するしかあるまい。

:船 船:舟 舡:n.a. 櫂:所以進舩也
:方舟
  舫:船師  航:n.a.  斻:n.a.
:編木以渡  桴:棟名  筏:n.a. 栰:n.a.

この直前にも詩経の引用がある。・・・
 汎汎楊舟 紼縭維之 紼…【繂】 縭…【緌】
  汎汎楊舟 紼纚維之 樂只君子 天子葵之
     [「詩經」小雅 魚藻之什 采菽]
     ・・・汎汎と水上に浮かぶ楊舟を太綱で係留
  汎汎楊舟 載沈載浮 既見君子 我心則休
     [「詩經」小雅 南有嘉魚之什 菁菁者莪]
  

     

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