![]() ![]() ■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[12ea釋水]■■■ 「詩經」からの引用。いかにも科挙必修テキストたる「爾雅」らしさ紛々。そこらの気分は伝わり難いものがあるので、解釈を試みることとした。 この<采菽>だが、題名は<樂只君子>が妥当。その中味は、単に、天子が君子を特別大歓迎した様子以上ではないから。だからこそ格別重要なのである。儒者感激の詩だろうが、儒教に無縁の人からすれば無味乾燥。 歓待される側としては、君子とはかくのごとく扱われて当然の存在となるが、接待する役人にとっては大忙しでたまったものではない。 それを見ている官僚達は、それも又愉しであろう。政策転換で割りを食う恐れも多分にあるのだが、王朝内での地位確保のために御呼びを画策した側はお祭り騒ぎ。 もっとも、第三者から見れば、そんな仕事があるからこそ役人が大勢喰っていけるので、有難い話ではないかとなるが。 言うまでも無いが、そんな詩であると認める訳にはいかないから、なんらかのご教訓話として解釈せよとなる筈。それが上手くできないと、科挙受験者の熟の経営も成り立たなくなるから、極めて重要。 と言っても、そこらは言葉の綾であって、天子が大盤振る舞いで教えを乞う様子を、生徒の頭に叩き込むことができさえすれば必要十分。 采菽采菽 筐之筥之 君子來朝 何錫予之? 大豆採りだぞ 大豆採り。これを立派な篭に、立派な箱にも入れよう。 君子の来朝だ。何して歓待すればよいのかネ。 雖無予之 路車乘馬 又何予之? 玄袞及黼 されども、特別なもの無し。路行く車馬を出せばよいか。 他に何かあるかナ。黒のあつらえと、模様入りの衣服か。 觱沸檻泉 言采其芹 君子來朝 言觀其旂 沸々と湧きだしている泉の辺。そこにある素晴らしい芹を摘もう。 君子の来朝だ。そこにある旗が翻っている。 其旂淠淠 鸞聲嘒嘒 載驂載駟 君子所屆 その旗は船が行きかうように翻る。天子の車に附いた鈴の音は清々と。 三頭立てや四頭立ての馬車で君子がご到着。 赤芾在股 邪幅在下 彼交匪紓 天子所予 赤の膝掛。足覆(向か穿き)も着けておられる。 その対処に一点もぬかり無し。天子の授けた通り。 樂只君子 天子命之 樂只君子 福祿申之 先ずは君子を愉しませよう。天子直命。 先ずは君子を愉しませよう。祝福褒美。 維柞之枝 其葉蓬蓬 樂只君子 殿天子之邦 "ははそ"の木の枝を纏めよう。その葉密々。(厄払万全。) 先ずは君子を愉しませよう。さすれば、天子の邦の後ろ盾になってくれる。 樂只君子 萬福攸同 平平左右 亦是率從 先ずは君子を愉しませよう。限りなき程の福が集まって来る。 左右に控える者ども。こちらも全てが集まって来る。 汎汎楊舟 紼纚維之 樂只君子 天子葵之 汎汎と水上に浮かぶ楊舟。太綱で係留。 先ずは君子を愉しませよう。天子は褒章用意。(葵≒揆[はかる]) 樂只君子 福祿膍之 優哉游哉 亦是戾矣 先ずは君子を愉しませよう。祝福はさらに手厚く。 "のびやか"なり、"ほしいまま"なりである。又、戻って来ることもあろう。 [「詩經」小雅 魚藻之什 采菽] 上記では楊舟の意味がわかりにくい。といって、<菁菁者莪>だと読めるという訳でもない。<采菽>同様に、<既見君子>がメインテーマだから同類。 こちらは、通常は(朱子学上)、菁莪(アザミがしげる。)と云うことで、英才育成を楽しむ意味とされている。育材という文字は見当たらないものの。 菁菁者莪 在彼中阿 既見君子 樂且有儀 菁菁者莪 在彼中沚 既見君子 我心則喜 菁菁者莪 在彼中陵 既見君子 錫我百朋 汎汎楊舟 載沈載浮 既見君子 我心則休 [「詩經」小雅 南有嘉魚之什 菁菁者莪] 青々繁茂しているのは "よもぎ"。 (今、)あの(入り込んだ)岸辺に在り。 君子がお見えになれば、 樂しび、且つ、祭儀挙行となる。 青々繁茂しているのは "よもぎ"。 (今、)あの河辺(or 中州)に在り。 君子がお見えになれば、 我が心の喜びとなる。 青々繁茂しているのは "よもぎ"。 (今、)あの山腹に在り。 君子がお見えになれば、 膨大な宝貨を得たかのよう。 浮かび漂う(臨機応変で頑丈な)楊舟。 (重い荷を)載せれば沈み、(軽い荷を)載せれば浮く。 君子がお見えになれば、 我が心は麗しさで一杯になる。 ⏩続 ![]() (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |