■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[13i釋草]■■■
草の名称は基本同定できないと考えるしかないと思うが、まるっきり放り投げて置くのも、どうかと思われるのでそれなりの努力を払っておこうと思う。それが著者に対しての敬意と考えている訳ではないが。

1つ、目に留まった草があるので、それをタネに。・・・
<莤 蔓于>@釋草 莤[禮祭 束茅 加于祼圭 而灌鬯酒 是爲莤 象神歆之] 蔓[葛屬]

まるっきり情報が無い訳ではないから、小生だと、以下の如くに3説ありと解説することになるが、たまたまこの数になるだけで諸説登場しておかしくない。

先ず、1番目だが、これは採用したくない。
   莤…かりがねそう[雁金草]blue mist spiraea
確かに、莤に関する情報から、こう呼ばれていたのであろうが、「爾雅」が収録する理屈が読めないからカットが望ましかろう。
しかも、この草は、所謂、雑草的に嫌悪されるタイプであって、蔓于と呼ばれる可能性は低いと言わざるを得まい。蔓系では無い訳だし。

次が、水草系。こちらのソースは概ね注釈本。他よりは信用できそうだし、かなり昔の知識で判断していそうだから、使いたくなって当然だろう。しかし、これも採用したくない。
   莤…軒于/莸草@水辺水上
ただ、水草との見方に恣意性がある訳ではない。莤には草以外の字義があり、槽的なイメージが被っているというのはおかしなことではない。従って、莸草と結びつけるのも悪くはなさそう。
問題は、どうして収録したくなったかという観点でのimplicationを考えると、デッドロックに乗り上げてしまいかねない点。分析的にいくら積み重ねたところで、この草の概念的イメージが捉えられそうになければ、避けるにしくはなし。

3ッ目が本命。
   単なる蔓…やぶがらし[藪枯]/烏蘞莓英訳:bushkiller
蔓系雑草だが、敵視されて当然と言った和名がついており、これは筋が良い。一名、貧乏葛で、こんな言葉は一度耳にすれば消えることは無い凄い命名である。
しかし、問題はこれは和語であり、大陸から伝わった名前では無い点。
棄てるに忍びずなので、これを採用することにした。もちろん、それには理屈が必要となる。
  葛生蒙楚 蘞蔓于野 予美亡此 誰與獨處 [「詩經」國風 唐風葛生]
  葛が生えて 楚[イバラ]をおほ[蒙]-ひ 蘞[かづら]は野に[于]はびこ[蔓]-る
"蔓于"という単語があるとは思えないが、この詩から"蔓于野"というジャーゴンが生まれたと考えればそう悪くないのではあるまいか。
言うまでもないが、「爾雅」とは詩作用アンチョコとみなしているから。
  

     

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