■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[15gaa釋蟲]■■■ そもそも、冒頭の取り上げ理由が不透明。 <螜 天螻> =𧕱/螲/螜/蝲蝲蛄/仙姑/鼫鼠…ケラ[螻蛄]mole cricket 特に日本字だと、 "おけら"という言葉が余りにも有名なので、どうして蟲の筆頭として登場させるのか理解に苦しむことになる。 もっとも、雑食性で万能とも言えることも知られているから、満更、捨て置けない存在とのイメージはあることはあるのだが。・・・ 水泳 疾走 跳躍 攀登 穴掘 飛翔 長鳴 ただ、見かけから言えば、エビ頭でショベル前脚という姿だから、その姿から命名するなら、モグラコオロギが最適な感じで、他に特徴などなさそうに思ってしまう。 そんな蟲に、よりもよって接頭語に"天"を持ってきて、蟲篇の旗手役を与えるのはどういうこと、となる。マ、そう考える人もいるようで、この生物はケラでは無く甲虫とみなすこともできないではない。 そもそも、上記の様に、別名が多過ぎだし。 とは言え、「爾雅」は、分類したい訳でもなく、雅語が使えるように便利に整理しているだけのこと。分類観云々自体が場違いと言えないこともない。 そう考えると、ケラ筆頭はそうかも、という気もしてくる。 大規模農業成功の肝は、湿地の代掻きだからだ。とんでもない数のケラが出て来て水面を迅速に逃げて行く様子はまさに風物詩だったろう。 その後、根切り害は及ぼすものの、穴掘りスピードは並ではなく、すべて土中に。そして、時期になるとミミズの聲と間違うくらい大勢で鳴き始める。しかも夜になると灯火に大挙して飛来。 現代人には想像もつかぬ風景。古代に於ける、農歴お知らせであり、天文蟲と名付けたくもなろう。 この辺りの感覚共有は無理であり、はたして理解できるものかも定かではない。 イナゴなど、大被害をもたらすからイの一番の大敵だろうとなるが、大発生しないなら、食糧として大いに役立つから、そう簡単にどちらかに決め打つ訳にはいかないことも知られているし。 爰にヱホバ モーセにいひたまひけるは汝の手をエジプトの地のうへに舒て 蝗をエジプトの國にのぞませて 彼の雹が打殘したる地の諸の蔬を悉く食はしめよ [明治元(訳):「旧約聖書」出エジプト記 第10章] 此ヨハネは身に駱駝の毛衣もをき腰に皮の帶をつかね蝗蟲と野蜜を食物とせり [明治元(訳):「新約聖書」 馬太傳福音書福音書三章四節] よくわからぬという点では、もう一つの蟲がある。 <螒 天鷄> [Jp.種]…クツワムシ[轡虫]bush cricket [Ch.種]…"紡織娘" (別称:騷斯 莎鷄 樗鷄 鶾) 五月斯螽動股 六月莎雞振羽 七月在野 八月在宇 九月在戶 十月蟋蟀入我牀下 [「詩經」國風 豳風 七月] 螒[倝+虫]を表意文字として考えれば明け方(dawn)まで雌探しで喧しい虫なのだろう。農歴的観点からすれば、その最盛期は"紡織娘"祭祀の頃。これまた農事暦上の天文蟲では。 (コオロギやバッタでは、和語虫名は日本列島固有種を指し大陸語虫名とは一致しないことが多いが、厳密性を追求したりすると、なにがなにやらわからなくなる。例えば、キリギリスの中華帝国版の種は優雅蟈螽。南側は中華蟈螽。中央アジア〜東北圏は暗褐蟈螽。蒙古にも1種。日本の本土は別種で、西 東の2種、沖縄に1種、北海道〜朝鮮/露に翅長、樺太に1種という状況。その上、呼名は結構あてにならない。故宮博物院@台北の至宝"翠玉白菜"の虫は多産の象徴であるイナゴ[蝗蟲]及びキリギリス[螽蟖]と解説されることが多いが、クツワムシ[紡織娘]と呼ばれたりもしている。) そうだとしても、何故に鷄なのかがよくわからない。 蟲を鷄と呼ぶことはあるようだが。 鰹節蟲カツオブシムシcarpet beetle 孔子出 以告顔回曰:"丘之於道也 其猶醯鶏與!微夫子之發吾覆也 吾不知天地之大全也" [「荘子」外篇 田子方第二十一] ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |