■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16haaax釋魚]■■■
クジラに触れたので、一寸、脱線。

「和漢三才圖會」は、言うまでもなく、1607年成立の定番書、王圻+王思義:「三才圖會」の本邦版。1712年成立。著者の寺島良安については大阪の医者という以上の情報は無く、どうしてこれほど膨大な挿絵入りの百科事典が編纂できたのか全く不明。

特段興味を覚えている書ではないものの、クジラ@卷第五十一 魚類 江海無鱗魚の項の記載は見事。部位の特徴を的確かつ詳しく記述しており、ほぼ正しい。しかも下記の様に、本邦到来種を網羅している。ここらは、専門家の助言なくしては、とても書けそうにない。
インテリが集うサロン的な場を活用でもしていない限り無理だろう。

この箇所の内容に関しては大いに自信を持っているようで、"三才圖會其說憶見耳"と平然と記載する程。大陸の知的レベル低しと言わんばかり。(大陸では日本列島程頻繁にはクジラが到来しなかったことでの知識不足もあろうが、海底に巣があるといった、いかにも思想的な創作にご立腹というところか。)
 クジラ/whale=䲔/海鰌
 
 [Jp.]勇魚[万葉集訓:伊佐奈]
   【六種】
   世美セミ[背美]North Pacific right
   座頭ザトウhumpback
   長須ナガスfin
   鰮鯨イワシ[鰯]sei
   真甲マッコウ[抹香]sperm
   小鯨コ(ク)[克]gray
と言っても、勘違い的な記述も。・・・
魚虎/鯱シャチkiller/orca
  "其齒鰭如剱鉾
   數十毎在鯨口傍衝頰
    腮其聲聞于外久而鯨困迷開口時
     魚虎 入口嚙斷鯨之舌根鯨至斃"
確かに、シャチは集団でのクジラ殺戮に長けてはいるが、口中に入れる体躯ではない。おそらく、付き従う小判鮫/鮣sharksuckerの生態を勘違いしたのだろう。

尚古主義での文献調査を基本とする、官僚型の膨大情報量を誇るだけの書を嫌う、インテリとしては当たり前の姿勢で臨んではいるものの、限界を露呈していることになろう。
唐代の書、「酉陽雑俎」の著者、段成式の様にすべての情報ソースを詳らかにすることは物理的制約もあろうからできないとはいえ、まことに残念。
  

     

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