■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16haaaa釋魚]■■■ 微視的にもかかわらず、かえって「爾雅」の本質が見えてしまう場合もあるからだ。そんな場合、ついつい深入りしてしまう。 すでに取り上げたが、"甲"が欠落し、十干の順番通りでない、不可思議な記載がある。 このどこが雅語と言うのか、と尋ねたくなる。📖・・・ <魚枕謂之丁 魚腸謂之乙 魚尾謂之丙> と言って、特段、気に留めていなかったが、「倭名類聚抄」でここらについて<郭璞注>と引かれた記載に出会い気になってしまった。 そこで、「字通」を見たら、これらの字義は魚とは無関係とある。ソリャそうだろう。 要するに、「爾雅註疏」卷第九のこの箇所では、字形⇒字義と解釈していることになる。そうだとすれば、流石に"度を越した推測"ということになろうか。(「爾雅」は全体を通して字形視点についてはえらく冷淡であるし。) ・・・何故に字形の象を用いて雅になるかといえば、それが古字の≪篆書字≫だから。それ以上ではない。 と言っても、儒教政治学者の強引な創り話ということではなさそう。魚の頭骨で印を作ると記載されているからで、自信が無ければこんな解釈はしまい。(土器の魚骨連続スタンプ文様であろうか。チャームということになる。) さらに、考えてみれば、仰韶文化の遺跡から様々な魚紋彩陶祭祀容器が出土している訳で、最古王朝期の古代信仰には魚が深く係わっていたと見て間違いなさそう。そこらを郭璞が見抜いていた可能性もあろう。 ただ、素人常識で判断すれば、この部分は詩作でよく使う面白い表現としか思えないが、そうとしても、腑に落ちぬ。腸と見なせば、重複表記になってしまうからだ。 魚乙 魚腸 …不食雛鱉 狼去腸 狗去腎 貍去正脊 兔去尻 狐去首 豚去腦 魚去乙 鱉去醜 [「禮記」內則] そもそも、魚の腸など、古代人が食べようと手をつけるとは思えないから、わざわざ記載する必要などなかろう。 (フグやウナギは毒を喰らうことになるから言うまでもないが、腸は腐敗が早いから一般的に食材の対象とはしない。新鮮であっても、青魚や鮭はアニキサスが多いし、非養殖の淡水魚だと間違いなく顎口虫に見舞われるので、腸の様に加熱処理不十分になりがちな部位を避けるのが鉄則。それに、人の好みは様々とはいえ、一般に、不味いとか臭かったりするので食べられたものでは無いことが多い。例えば、ボラにしても卵巣はカラスミに加工されるものの、内臓は全て捨てられている。言うまでもないが、鮎の様に、漁獲直後の完璧な丸焼きならもともと腸を問題視する必要など無い。) そうなると、この場合、乙は𠄌ということと違うか。魚の骨にはくれぐれもご注意ということで。 さらに、以下の如く十干型記載順でなく、魚の部位順にする発想もわからない。「說文解字」はガン無視で、甲のみ提示。 魚甲 魚鱗 魚乙 魚腸 魚丙 魚尾 魚丁 魚枕(頭中骨) 乙とはあくまでも十干二番手。魚を意味して使われる筈がないとの姿勢は当たり前。 乙[象春艸木冤曲而出 陰气尚彊 其出乙乙] 腸だけでなく、尾についても、ご意見ありの筈。・・・ 字形で考える立場なら、尾鰭ではなく、魚全体の柄ということになろうから、尾付け根の脊椎部分が該当する。 頭の骨は硬く複雑な部品が入り込んでいるが、上手に処理しながら食せば、少量とは言え美味な身を愉しめることはよく知られている。但し、下手に骨を飲み込んでしまうとどうにもならず大事に。だからこその枕骨。従って、そうした骨を魚丁と称してもおかしくなかろう。しかし、䰳は非収載。(土䰳という魚名に使われる。) 鯁[魚骨] (→魫 𩹐[非収録]) もちろん、「字通」は明瞭に象形との見解。 甲:亀甲の坼けている形 乙:獣骨製ヘラ[箆] 丙:器物の台座→長柄武器の石突 丁:釘頭 ⏩続 (C) 2025 RandDManagement.com →HOME |