■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16l釋魚]■■■
「爾雅」非所収の"鮫"について。

「說文解字」は何を伝えたいのだろうか。・・・
  鮫:海魚 皮可飾刀

魚の皮ということなら、常識的には、ウツボかサメ。刀剣なら、サメに決まりとなる。そもそも、鮫をサメと読んでいる訳だし。
普通は、なんの疑いも覚えることは無い。従って、ここでもそう書いて来た。

しかし、小篆創作官僚が設定した字義を字体から推定する書である以上、旁文字に関係しないなら、この手の説明は不要。重要なら別字があってしかるべしだし。"皮可飾刀"を記載するなんらかの特別な理由があったことになる。換言すれば、サメではない可能性あり。

ちょっと調べるとすぐにわかるが、日本刀のサメ皮使用部位は2箇所(柄・鞘)あり、両者は異なる皮。近海サメと高級輸入品。(武家の時代、海外の様々な地より到来。…占城、柬埔塞、聖多黙、太泥、暹羅、交趾、咬𠺕吧、阿媽港)
ところがこの皮はサメではなく、南海のエイと言われている。武士の好みということかと思ってしまうが、正倉院御物もサメと思われていたが、エイであることが判明している。
そうなると、大陸ではどうなのか気になるが、驚くことに、鮫皮刀情報自体が見当たらない。これでは、日本特有の習慣とせざるを得なくなってしまう。
「說文解字」の記載のお蔭で、かろうじて、もともとは大陸の使用法であることがわかったことになる。

そうなると、"鮫"とは中華帝国圏外棲息のエイと比定せざるを得ないのでは。

もう少し見ておこう。・・・
鮫皮/沙皮/梅花皮の英語表記はShagreen。
確かに、研磨用鮫皮という意味で使われているから間違いではないものの、古い用法では鞣皮を意味していた。しかも、初期は、エイやサメではなく、アジア野驢馬や馬が対象だったとされる。そうなると、この語の発祥はペルシア〜天竺〜中央アジア〜蒙古辺りということに。
鮫皮とは、ペルシア製造のアカエイ皮の可能性が浮上してくる。
[軟骨魚]
│┌[全頭]  (K線)銀鮫ギンザメ@太平洋北西部深海silver chimaeras
└┤
 └[板鰓]
  │┌[鯊]
  ││├─[鼠鯊ネズミザメ]
  │││  [真鯊メジロザメ]
  │││   [鬚鮫テンジクザメ]
  │││    [虎鯊ネコザメ]
  │││
  ││└─[角鯊ツノザメ]
  ││   [六鰓鯊カグラザメ]
  ││    [鋸鯊ノコギリザメ]
  ││     [扁鯊カスザメ]
  └┤
   └[魟]…鱏 鱝 鰩 海鷂魚 ray
    │
    ├─(日本單鰭)電鰩シビレエイ[痺鱏/痺鱝/麻魚/木勺鯆]
    │         (Japanese) sleeper ray
    ├─犁頭鰩ノコギリエイ[鋸鱏]@淡水largetooth sawfish
    │  薛氏犁頭鰩サカタザメ[坂田鮫]brown guitarfish
    │  顆粒藍吻犁頭鰩ミナミサカタザメsharpnose guitarfish
    │
    ├─鰩/鯆魮ガンギエイ[雁木鱝]skate
    │  美鰩メガネカスベ[眼鏡糟倍]mottled skate
    │  斑甕鰩コモンカスベ[小紋糟倍]spiny rasp skate
    │
    └─燕魟トビエイ[鳶鱏/鳶鱝/跳鱏]Japanese eagle ray
      赤魟/紅魴/尺魚/黃夫アカエイ[赤鱏/赤鱝]red stingray
  

     

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