■■■ 「說文解字」「爾雅」検討[16xxxxx釋魚]■■■
<貝 居陸 在水者蜬> …{貝[海介蟲]+猋[犬走皃]}

・・・陸棲貝(肺的呼吸) v.s. 水棲貝(鰓的呼吸)と云う、まともな分類観を感じさせる記述に見えるものの、"猋"を文字表記に持って来られると往生する。(もちろん、"滑"を骨の字義で解釈しても意味ないということでもあるから、どうでもよいとも言えるものの。)

現実に対象となる陸棲種とは、陸耳貝+蝸牛+煙管貝+山田螺+玉黍貝であって、現代分類ならこれに、介を失った蛞蝓が加わることになる。
このどれをとろうと歩が途方もなく鈍くて、疾風怒濤的な点はなにもないからだ。
そもそも、すでに記載している箇所と矛盾はきたさないのか、と突っ込みたくなることもあるし。
<蚹蠃 螔蝓 蠃小者 蜬>   {軟体類}…蝸牛

出鱈目な書を読んでいるとも思えないから、知らぬ顔の半兵衛を決め込むしかなさそうだが、それもつまらぬので、この様な場合にどう解釈できるか、試行してみることにした。

まず、どの貝を典型としているかだが、食という点では、小さいとはいえ食材になる殻が柔いカタツムリか、蓋があって、いかにも螺という外観の煙管貝だろう。収穫量という点では今一歩であろうが、加熱で身が硬くなりすぎなければ、積極的に食べたに違いない。
そうだとすれば、料理人は必ず、産地や種類についての知見を集めることになろう。しかし、おそらくお手上げ。陸貝は、極めて狭い地域毎に外観が少しづつ異なっているからだ。孤立した島嶼棲息固有種しかいない様なもの。移動速度を考慮すれば当然のことだが。
ところが、その一方で、風に乗って移動したかの様に、遠く離れた場所に同一種が棲息していることにも気付いたに違いない。ヒトが意図せず移住させたのであるが。(暴風一過後、一時的な天敵消滅もあって、石灰大地的地質の場合、特定陸棲貝大発生はよくあるので、突然渡来したかに映る筈。)
そんな状態を称して、表記したのが"贆"では。当然、俗字。

その手の文字収録の必要性がありそうには思えないし、この程度で雅語扱いでもなかろう、と見るのが普通だろうが、それは食材獲得という目で眺めてしまうから。
もし、飼育動物化を図っていたとしたら、別な見方もできるのでは。

好みの美味種を探し出し、捕獲して、邑内での繁殖を目指してもおかしくなかろう。
この類は乾燥に極めて弱いが、膜を張って仮死状態になり生き延びる術を身に付けているから、実の所、遠距離調達はそれほど難しくない。それに、餌は多くの場合、野菜類で十分。その気になれば飼育は容易な筈。
古代、おそらく陸貝は好物。ただ、その人気は続かなかったことになる。
  

     

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